女性従業員労働保護特別規定についての解説
2012年4月28日、国務院は「女性従業員労働保護特別規定」(以下、特別規定という)を公布し、即日実施した。その概要を以下の通り纏めました。
1、背景
1988年国務院が公布、実施した「女性従業員労働保護規定」は20間年以上過ぎ、女性従業員の人数は1988年当時の5036万人から今日の1.37億人まで増加し、全従業員人数の42.7%を占め、そのうち、女性農民工が女性従業員総数の37%を占めている。女性従業員労働保護の対象、利益訴求は多階層、多様化を呈しているので、従来の規定の一部内容が社会の現状に相応できなくなり、それらの問題を解決するには法改正を必要とすると認識した国務院は国務院令の形式で特別規定の公布・実施を決定した。
2、調整の内容
(1)女性従業員に従事させてはならない労働範囲の調整
① 妊娠期間および授乳期間の保護を重点に、妊娠期間および授乳期間中に従事させてはならない労働範囲を拡大した。
②「労働法」は月経期間、妊娠期間および授乳期間中に従事させてはならない労働範囲のみ規定したことを考慮し、「結婚後妊娠前」の女性従業員に対する保護を削除した。
③ 女性従業員労働保護と女性就業とのバランス関係を保つため、月経期間中において従事させてはならない労働範囲を縮小した。
(2)出産休暇期間の調整
① 従来の「女性従業員労働保護規定」に決めた女性従業員の出産休暇日数90日を14週間(即ち98日)までに延長した。
② 従来の「女性従業員労働保護規定」では女性従業員の流産に対して一定期間の出産休暇を与えると規定されているのみであったが、特別規定では流産休暇を明確し、妊娠4ヶ月未満で流産した場合、15日間出産休暇を享受し妊娠4ヶ月以上で流産した場合、42日間(6週間)出産休暇を享受すると決める。
(3)出産休暇待遇
① 女性従業員の出産休暇期間中の生育手当について、すでに生育保険に加入した場合、会社の前年度従業員月平均給与の基準によって、生育保険基金が支払う。
② 生育保険に加入しなかった場合、女性従業員出産休暇前の給与基準により会社が支払う。
③ 女性従業員の生育または流産の医療費用について、生育保険に決めた項目及び基準により、すでに生育保険に加入した場合は生育保険基金が支払うが、生育保険に加入しない場合は会社が支払うものとする。
3.具体的な措置
(1)部門職責の明確
特別規定では女性従業員労働保護監督管理体制を以前の労働行政部門1部門から県レベル以上の人民政府人力資源社会保障行政部門、安全生産監督管理部門へ調整し、各自の職責により会社に対して特別規定を遵守する情況を監督、検査する。
(2)法律責任
特別規定では、会社が女性従業員労働保護に違反する場合の法律責任を明確化した。
① 特別規定の第六条第二項、第七条、第九条第一項に違反した場合、侵害された女性従業員の1人当たり1000元以上5000元以下の罰金が科せられる。
② 特別規定付属の第三条、第四条に違反した場合、5万元以上30万元以下の罰金が科せられる。情状が重大な場合、操業停止、または所管する人民政府が国務院より決められた権限に従い会社の閉鎖を命じることもある。
新主要法令
№ |
法 律 名 称 |
施行日 |
1 |
国務院の女性従業員労働保護特別規定(『重要法規解説』をご参照下さい) |
2012/04/11 |
2 |
財政部・国家税務総局の労災従業員の取得した労災保険待遇関連個人所得税政策に関する通知 |
2011/01/01 |
3 |
財政部の「国外特許申請支援専項資金管理弁法」の配布に関する通知 |
2012/04/14 |
4 |
商務部の外商投資創業投資企業備案管理の完備に関する通知 |
2012/05/07 |
5 |
最高裁の独占行為によって発生した民事紛争案件審理の法律応用若干問題に関する規定 |
2012/06/01 |
6 |
商務部の商務行政処罰手順規定 |
2012/07/01 |
7 |
国家質量監督検験検疫総局の「輸入食品輸出入備案管理規定」及び「食品輸入記録及び販売記録管理規定」の配布に関する公告 |
2012/10/01 |
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。