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会社の債務をその株主に請求出来るか

【相談内容】

 2010年10月5日、A社はB社に50万元に相当する食品を販売し、B社はその代金をA社に一括で支払うものとする契約を締結した。

 その後、A社はB社に何度も代金の支払を催促したが、B社は一向に応じなかった。

 A社がB社を調査したところ、同社はすでに多額の負債を抱え、債務履行を逃避する為に所得及びその他の財産を数回に分けて各株主に移転していたことが分かった。

 B社には既に職員はおらず事務所も空虚となっていることから会社の実体は無くなっていたため、A社は仮に勝訴したとしても、強制執行できる対象物はなく、回収できるものが殆ど無くなると危惧し、B社が悪意に財産を移転し債務履行から逃避したとして、その株主に対して債務を請求できるかどうかについてA社から相談があった。

【回 答】

 A社は直接B社の株主に債務を履行するよう、B社の株主を被告として裁判所に債務紛争で提訴することができる。

 「会社法」第20条の規定では、株主は法律・行政法規及び会社定款を遵守し、法によって株主の権利を行使し、株主の権利を濫用し会社或いはその他の株主の権利を損害してはならず、また会社法人の独立的地位及び株主の有限責任を濫用し、会社債権人の利益を損害してはならないとしている。また、株主は会社法人の独立的地位及び株主有限責任を濫用し、債務を逃避し、会社債権人の利益を重大に損害した場合、会社債務に対して連帯責任を負わなければならないとしている。

 つまり、会社の独立的地位がその株主に乱用された場合、株主に対し当該会社の債務或いは行為に対して相応しい連帯責任を負わせることを要求することができる。その要件としては、まず、株主の権利を濫用し会社に損害を与える行為を有する。すなわち、株主が出資による有限責任を負担し、会社は全資産のみに独立して責任を負うとして、利益は株主に、欠損は会社に帰属させる目的を実現する為に、悪意に会社の契約義務或いはその他の債務を逃避し、会社の法律責任を回避し、会社を株主の債務逃避またはリスク回避の道具とする行為である。次に、会社の行為が債権人の利益或いは社会一般に対して損害を及ぼすことを有している。

 本案では、B社の行為は上述の要件に該当している。B社は多額の負債を抱えているにも関わらず、返済しようとせず、逆に経営所得及びその他の財産を株主らに移転する方法で債権人によるB社への債権取立に対抗し、A社の債権回収を困難にしていることは悪意の債務逃避に属し、株主権利を濫用する行為に該当する。他方、B社の上述の行為によって、A社が代金を回収することができなくなり、A社の合法権益を損害し、その両者の間に内在的、本質的かつ必然な関係が存在しているといえよう。

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。