上海市人民政府活動報告
2013年1月27日~2月2日にかけて上海市の第14期人民代表大会第1回会議が開催されました。上海市長代行の楊雄氏(本会議にて正式に上海市長に選出)が上海市の政府活動報告を行いました。本稿は、その抜粋をご紹介します。
過去5年間の回顧
・万博によって上海の国際影響力が著しく向上
・5年間の上海GDPの平均成長率は8.8%
・5年間の上海市民の最低給与水準は73%増加した
・2012年、上海軌道交通運営路線は468㎞に達した
・5年間で上海の中国企業の対外投資が100億米ドルに達した
今後5年間の活動展望
・今後5年間で、150社の多国籍企業の地域本部を増加させる
・2020年までに住民1人当りの収入を2010年の収入より倍増させる
・今後5年間で、上海地下鉄運営路線が600㎞に達する
・今後5年間で、環境保護への投資が上海市GDPの約3%を維持する
・上海が制度革新で新しい突破を図る
・上海が革新型都市の先進となる
・今後5年間で、古い町の改造と中古住宅の総合改造の推進を加速する
・国家教育総合改革テスト区の建設の推進を深化する
・合理的に人口規模をコントロールし、人口構造を優良化する
・上海に事業所がある世界レベルの多国籍企業を育成するよう努力する
2013年の事業中心
・2013年の上海のGDP成長率目標を12年実績と同じく7.5%増とする
・中国博覧会総合体(注1)等国家プロジェクトの建設を加速
・ベストシティ実践区(万博跡地)の改造プロジェクトを完成させる
・郊外公園プロジェクトを稼働
・国家ハイエンド人材特別支援計画を実施
・浦東新区に自由貿易園区(注2)を試験的に設立
・大型旅客機、商用航空モーター等の重大産業プロジェクトを支援
・2013年に50万人の新規就業を確保
・養老ベッド5,000床の新設
・上海市が支援するハイレベルの公演を250回開催
・郊外住宅地の建設を加速
【参考~2012年上海市の主な経済指標】
・域内総生産(GDP)~2兆101億元(7.5%増)
・工業生産~6446億元(2.9%増)
・固定資産投資~5254億元(3.7%増)
・社会消費小売総額=7387億元(9.0%増)
・消費者物価指数=2.8%増
・貿易=4376億米ドル(0.2%減)、うち輸出2068億ドル(1.4%減)、輸入2299億ドル
(1.0%増)
・住民1人当たり所得=都市部可処分所得4万188元(10.9%増)、農民純収入1万7401
元(11.2%増)
注1)中国博覧会総合体:上海虹橋交通ハブ(虹橋空港等周辺)の西側にある4つ葉クローバーの形をした展覧総合施設。2014年に竣工予定で、50万㎡の規模で(龍陽路の新国際博覧センターの2.5倍)世界最大となります。 (出典:虹橋商務区HP)
注2)浦東新区自由貿易園区:税関特殊管轄区域の機能を拡大し、貿易や金融、水上運輸、物流、製造などの業界が共同で国際的な自由貿易園区を設立することを奨励する区域。 (出典:NNA中国総合版)
先行発展した上海の2012年GDP成長率は、中国国内の省・直轄市の中で最下位クラスであるものの、第3次産業がGDPに占める割合は6割を超え経済発展方式の転換が進んでいることが窺えます。特に情報通信(16.5%増)、金融(12.6%増)等の伸びが目立ちます。また、2013年の事業中心で注目されるのが、中国国内で初となる自由貿易園区を試験的に設立する方針です。これが実現すれば、港湾と園区が直接連携し、将来的には通関の速度向上や貿易コストの節約につながり、上海市の競争力が増すとみられています。