最高裁の労働報酬支払拒否刑事案件審理法律適用
2013年1月16日、最高裁は「労働報酬支払拒否刑事案件審理法律適用若干問題に関する解釈」(以下、解釈という)を公布し、総計9条の解釈を1月23日から実施することを決めた。その概要を以下の通り概括してみることにします。
一、背景
ここ数年来、雇用者が労働者に労働報酬の支払を拒否する現象が顕著になった。労働者、特に出稼ぎ農民はこの労働報酬支払拒否行為の被害者になった。「刑法修正案(八)」に労働報酬支払拒否罪を追加し、2011年5月1日より実施された後、関連部門は本法によって、労働報酬支払拒否案件を取り調べ、労働報酬支払拒否をする雇用者に対する法的責任に注力した。しかし、現実に裁判所は労働報酬支払拒否案件の処理に当たり、刑法の関連規定から様々な難問にかかっている。最高裁は、解釈の公布、実施によって労働者の合法権益を守り、刑法の操作性を高めようとしている。
二、主な内容
1、労働者の労働報酬の具体的な意味を明確した。
2、雇用主が労働報酬支払を拒否するため、財産の移転、隠匿などの方法をもって労働者の労働報酬支払を逃避する行為の認定標準を明確した。
3、政府関連部門に支払を命じられても支払わない認定標準を明確した。
4、労働報酬支払拒否罪についての犯罪の定義及び具体的な量刑基準を明確した。
5、労働報酬支払拒否罪の処罰軽減の状況を明確した。
6、労働報酬支払拒否罪の主体的範囲、犯罪単位などの問題を明確した。
三、解釈第一条は、労働者労働報酬の範囲を明確した。具体的には、賃金、ボーナス、手当、補助、残業時間の給与報酬及び特定の状況下で支払われる給料などが含まれている。
四、解釈第四条第一款は、雇用主に支払を命じる主体は人的資源と社会保障部を含まれるが、それに限らでないとしている。
五、解釈第四条第二款により、当事者が逃避し、支払命令の文書をその本人、同居成年家族あるいは会社の責任者に送ることができない場合、関係部門は当事者の住所、生産場所などに支払命令文書を張り公示方法で支払を命じ、且つ写真、録画などの方法で記録すれば、政府関連部門に支払を命じられたと見なす。
六、労働報酬支払拒否の量刑
1、刑法第二百七十六条第一款により、労働報酬支払を拒否し、金額が比較的大きく、政府関連部門にその支払を命じられても支払わない場合、3年以下の有期懲役若しくは拘留、且つ罰金との併科、或いは単なる罰金を科し、また重大な結果をもたらした場合は、3年以上7年以下の有期懲役と罰金との併科を科する。
2、各地の経済状況の差を考慮し、解釈第三条は特別な基準を設定した。この条文によって、以下の状況に合致した場合、刑法第二百七十六条第一款に規定された金額が比較的大きいという基準に認定される。
(1)労働者一名に対して、3ヶ月以上の労働報酬で且つ金額が5千元から2万元以上の支払を拒否した場合。
(2)労働者十名以上の労働報酬で且つ金額が累計3万元から10万元以上の支払を拒否した場合。
3、解釈第五条は重大な結果をもたらした状況について規定した。
(1)労働者本人或いは労働者に法律上扶養義務がある親族の基本生活に重大な影響を及ぼし、重大な病気をすぐに治療できず、或いは退学することに至った場合。
(2)労働報酬を支払われるはずの労働者に対し暴行を加え、或いは暴力で脅迫した場合。
(3)その他の重大な結果をもたらした場合。
七、労働報酬支払拒否罪の軽減処理
1、解釈第六条第一款、第三款は労働報酬支払拒否罪の軽減できる状況を規定する。
(1)刑事立件前に、労働者に労働報酬を支払い、且つ相応しい賠償責任を負った場合、情状が軽微として犯罪として認定しない。
(2)公訴前に、労働者に労働報酬を支払い、且つ法によって相応しい賠償責任を負った場合、刑事責任を軽減し、または免除することができる。
(3)第一審判決前に、労働者に労働報酬を支払い、且つ法によって相応しい賠償責任を負った場合、酌量減軽することができる。
2、解釈第六条第二款によれば、雇用主に刑事処罰を与えない場合、案件の具体的状況によって訓戒、過ちを認めさせ、或いは謝罪させることを命じる。
新主要法令
№ |
法 律 名 称 |
施行日 |
1 |
最高裁の「労働報酬支払拒否刑事案件審理法律適用若干問題に関する解釈」(『重要法規解説』をご参照下さい) |
2013/01/23 |
2 |
商務部、税関総の輸入許可証自動インタネットリンク検査システムオンライン運営公告 |
2013/01/07 |
3 |
国家発展と改革委員会、財政部、水利部の水資源費徴収基準関連問題に関する通知 |
2013/01/07 |
4 |
国家税務総局の直販企業増値税販売額確定関係問題に関する公告 |
2013/03/01 |
5 |
環境保護部の「輸入廃プラスチック環境保護管理規定」配布に関する公告 |
2013/04/01 |
6 |
国家食品薬品監督管理総局の輸入薬品実施監管関係事項に関する通知 |
2013/12/31 |
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。