環境汚染強制責任保険試行実施に関する指導意見
2013年1月21日に、中国環境保護部及び中国保険監督委員会は「環境汚染強制責任保険試行実施に関する指導意見」(以下、「本意見」という)を公布実施することを決めた。本稿では以下の通りその概要を述べます。
一、目的
本意見の保険の導入によって、社会化、市場化の道を通じて環境汚染損害の解決、会社による環境リスク管理の強化、汚染事故の減少に役立てる。また汚染事故の迅速な対応、補償、汚染被害者の権益保護、及び会社への汚染事故賠償圧力の分散にも有利である。
二、試行企業範囲
1、重金属汚染予防コントロール業界には重非鉄金属鉱山、重非鉄金属精錬業、鉛充電池製造業、皮革及びその製品業、化学原料及び化学製品製造業が含まれる。
2、地方の関連規定によって保険加入範囲を納入した企業
3、その他の環境リスクの高い企業
4、下記に掲げた、環境汚染責任保険加入を奨励される環境リスクの高い企業
(1)石油、天然ガスの採掘、石化,化工など業界企業
(2)危険化学品の生産、貯蔵、使用、経営及び運輸の企業
(3)危険廃棄物の産生、収集、貯蔵、運輸、利用及び処理の企業及び環境リスクの大きいダイオキシンの排出企業
(4)環境保護部に確定されたその他の環境リスクの高い企業。
三、責任範囲
保険約款に記載する保険責任賠償範囲は以下の通りする。
1、第三者が汚染損害によって蒙った人身の死傷或いは財産の損失
2、付保会社は第三者の生命の救助、第三者の財産損失の回避または減少のために発生した必要、合理的な救援費用
3、付保会社は環境保護法律、法規によって、汚染物の拡散をコントロールし、或いは汚染物の処理のために、必要、合理的な汚染除去費用
4、保険契約会社と保険会社が約定していた他の賠償責任。
四、責任限度額
付保会社は自社の環境リスクレベル、汚染事故がもたらす損害範囲などの要素によって、環境汚染損失の賠償責任限度額を確定し、付保する。
五、保険料率
保険会社は会社環境リスクの評価結果によって、総合的に付保会社の環境法律順守の状況を考慮し、付保会社の業界特徴、プロセス、規模、会社の所在区域の環境敏感性などの状況を結合して、基準料率をベースに合理的に付保会社に適用する料率を確定する。
六、汚染事故賠償
環境汚染事故発生後、付保会社は迅速に必要、合理的な措置を取り、有効的に損失を防止或いは減少し、且つ法により関係部門に報告し、保険会社に通知し、事故現場を保護し、保険会社の事故検査及び損失査定に協力する。
七、損失計算
環境汚染事故で第三者にもたらした人身、財産損失、付保会社は汚染拡大の防止、事故損失の降下のために相応しい措置の採用によって発生した応急費用は環境保護部の「環境汚染損害賠金額計算勧め方法」(環発[2011]60号文書の付属文書)規定によって鑑定及び精算する。
八、情報公開
環境保護部門は付保企業の環境情報、たとえば環境検収結果、汚染排出許可証、汚染物排出基準超過のブラックリスト掲載、環境行政処罰決定などを公開する。
九、賞罰措置
環境保護部門は、付保すべきにもかかわらず、付保しない会社に対して汚染排出許可証の発行、環境専項基金申請の受理、銀行への会社の不付保情報の提供などの制約手段を講ずる一方、付保会社に対して汚染防止処理プロジェクトに対する専項資金の特別支援のほか、銀行への付保会社の付保情報の提供、優先的に融資の便宜を図ってもらうよう側面支援する。
新主要法令
№ |
法 律 名 称 |
施行日 |
1 |
中国環境保護部及び中国保険監督委員会の「環境汚染強制責任保険試行実施に関する指導意見」(『重要法規解説』をご参照下さい) |
2013/01/21 |
2 |
国家税務総局の営業税の増値税転換試行における非居民企業所得税納付に関する問題の公告 |
2013/02/19 |
3 |
商務部、国務院台湾事務弁公室の台湾投資者第三地経由投資転換認定暫定弁法 |
2013/02/20 |
4 |
国家安全生産監督管理総局の危険化学品安全使用許可適用業界目録(2013年版) |
2013/02/21 |
5 |
文化部の娯楽場所管理弁法 |
2013/03/11 |
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。