国家外貨管理局の「外国投資者中国国内の直接投資外貨管理規定」
2013年5月10日に、国家外貨管理局は「外国投資者中国国内の直接投資外貨管理規定」及び附属書類の配布に関する通知(以下、本規定という)を公布し、2013年5月13日から施行する。以下、本規定について解説します。
一、背景
中国の外資導入に当たり、近隣諸国との競争が激しく展開されているため、既存の政策の改定の機運が高まっている。そのような背景下で国家外貨管理局は本規定を制定すると同時に、24項目の外商直接投資外貨管理規定を廃止し、従来の外商投資企業の審査手続きを簡素化し、外国投資者の対中直接投資を促す狙いがある。
二、登記管理
対中直接投資活動に関わる機構及び個人は国家外貨管理局及び派出機構に登記を行わなければならない。
三、口座及び外貨決算管理
1、外国投資者は外商投資会社設立準備に必要な前期費用等資金を払い込む場合、外貨管理局に登記手続を行わなければならない。
2、外国投資者は、貨幣資金、株式権、実物資産、無形資産等(中国国内の合法所得を含む)をもって、外商投資企業に出資し、或いは国内会社における中国側の出資持分を買収する対価を支払う場合、外国投資者の出資及び権益状況について外貨管理局に登記手続きを行わなければならない。
3、外商投資会社は、抹消或いは非外商投資会社に変換する場合、外貨管理局に登記抹消手続を行わなければならない。
4、中国における機構及び個人は中国国内の直接投資に関わる株式権の譲渡、国内再投資等その他関連業務を取扱う場合、外貨管理局に登記を行わなければならない。
5、減資、清算、先行投資回収、利益配当等によって中国国外に資金を送金する必要がある場合、外商投資企業は相応しい登記を経た上、銀行で外貨を購入し、対外支払を行うことができる。
四、監督管理
1、外貨管理局は、登記、銀行送付、年度検査及び抜取調査等方式によって、中国国内の直接投資に関わる国境を跨る収支、外資決算及び外国投資者の権益変動等状況について統計、監査を行わなければならない。
2、外貨管理局は、中国国内の直接投資に異常或いは疑わしい状況が存在する機構または個人に対して審査、或いは検査を行う。
3、中国国内の直接投資に関わる主体が本規定に違反した場合、外貨管理局は「中華人民共和国外貨管理条例」及び関連規定に基づいて処罰する。
五、結び
国家外貨管理局が本規定を公布、施行する狙いは外国投資者の直接投資を規範し、投資利便性を高め、外国投資者の対中投資を縮小しつつある局面を打開することにあると言えるだろう。
新主要法令
№ |
法 律 名 称 |
施行日 |
1 |
国家外貨管理局は「外国投資者中国国内の直接投資外貨管理規定」及び附属書類の配布に関する通知『重要法規解説』をご参照下さい) |
2013/05/13 |
2 |
最高裁、最高検の食品安全危害刑事案件取扱法律適用若干問題に関する解釈 |
2013/05/04 |
3 |
最高裁の輸出信用保険契約紛争案件審理関連法律適用問題に関する批復 |
2013/05/08 |
4 |
国家外貨管理局の「外債登記管理弁法」の配布に関する通知 |
2013/05/13 |
5 |
国家発展改革委員会、商務部の中西部地区外商投資優勢産業目録(2013年改訂版) |
2013/06/10 |
6 |
税関総署公告2013年第30号(輸出入貨物通関単記載規範の修正に関する公告) |
2013/07/01 |
7 |
国家税務総局の「代納委託管理弁法」の公布に関する公告 |
2013/07/01 |
8 |
財政部、国家税務総局の全国に渡る交通運送業及び部分現代服務業営業税から増値税徴税試行展開の税収政策に関する通知 |
2013/08/01 |
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。