上海旅遊節

 今年で22回目となる上海旅遊節が9月10日から10月6日までの期間で開催され、世界や中国全土から約900万人の観光客を迎えて賑わいをみせた。上海旅遊節は1990年に黄埔旅遊節として、黄埔区の知名度と南京路商業街の売上を向上させるために始まり、当時は1週間の開催期間で、来場者数も50万人程度という規模だった。毎年の開催につれ、黄埔旅遊節は知名度と影響力を高め、上海旅遊節に改名し、国慶節のゴールデンウィークを加えて、会期を延ばしてきた。南京路商業街のショッピングキャンペーンのほか、上海市全体の観光、レジャー、文化、体育、見本市、グルメなどのイベントを行うようになっている。

 上海旅遊節開幕の目玉は「花車パレード」(山車)であった。今年は、航空会社、各地の観光スポット、中外地方政府等がそれぞれのテーマに合わせて用意した21台の花車を都心部の淮海路に沿って走らせ、音楽隊と共に華やかな観光PRのパレードを行った。交通規制された道の両側で、観光客や地元住民は山車の姿を楽しんだ。山車は各区へ巡回し、最終日に主催者から観光客の反響に応じて最優秀の花車が表彰された。

「花車パレード」の様子

 上海旅行節の期間中、観光スポット、グルメ、旅行社、ホテルなどの旅行関連業界は集客PRに力を注いだ。例えば、通常100元の黄浦江遊覧船チケットは2割引、蝋人形館入場料は5割引、郊外の公園や展示館、名所旧跡入場料は3割引となった。上海万博で人気を集め、公開を再開していた中国館やサウジアラビア館には国慶節の期間中、観光客が殺到し、7日間の連休中に中国館に31.5万人、サウジ館に6.5万人が詰めかけた。また、グルメについても、上海名物の白斬鶏(鶏肉の前菜)、白切羊肉豚、紅焼肉(豚の角煮)、かに味噌豆腐、焼き小籠包、春巻、団子のお店、上海情緒を漂わせる老舗レストランの情報が上海旅遊節の公式ホームページ上に掲載された。更に、上海を拠点にしている旅行社は、上海から周辺都市や有名な観光地への旅行コースを沢山設定して旅遊節向け価格で売出したことから、蘇州や杭州への日帰り旅行、ゴルフツアー、登山旅行などにも安い価格で行くことができた。

 上海ならではの風景を観光客に紹介しようと「海派文化」をとり入れた旅行イベントも考案された。海にたくさんの河が流れ込むように上海は世界各地の文化を吸収して、伝統の上海文化と混じり合う独特な「海派文化」がつくられる。繁華街である徐匯区は、歴史旧跡の蔵書閣、教会、天文台、徐光啓記念館、土山湾博物館を結ぶ旅行路線を作った。また、徐匯区の有名なバーが集積する衡山路では「音楽の夜」というイベントで洋楽と中国伝統音楽の共演によって「海派文化」の真髄を表現した。

 10月6日、世紀公園では世界各国の花火が打ち上げられ、3万人の来場者を数えた。夜空に輝く花火を最後に、今年の上海旅遊節は閉幕した。上海市旅遊局の道書明局長は、「上海旅遊節をより多元化し、より良い旅行の環境作りを図っていく」と述べた。

参考:上海旅遊節公式サイト、東方網、新聞晨報ほか