日本映画週間
じめじめとした熱気が漂う梅雨の上海で人々を興奮させたイベントが開催された。6月、今年14回の開催を迎えた上海国際映画祭のためにたくさんのスターが上海に集まり、彼等はレッドカーペットの上でその魅力をアピールした。上海国際映画祭(Shanghai International Film Festival)の歴史はまだ浅いが、イタリアのベネチア国際映画祭、フランスのカンヌ国際映画祭、ドイツのベルリン国際映画祭、日本の東京国際映画祭等12箇所の映画祭と同じく国際映画制作者連盟(FIAPF) が公認する国際A類映画祭である。中国映画産業は迅速に発展し、映画産業のグローバル化傾向が高まってきている。
そのような中で日本映画を中国で紹介するイベント――「日本映画週間」が北京(6月8日~13日)・上海(6月12日~18日)で開催された。これは昨年5月に行われた中日首脳会談の合意を受けて準備が進められ、日中映像交流事業「映画、テレビ週間」「アニメ・フェスティバル」の開催に至ったものである。優秀な映画やアニメを通じて日本の文化、人情、社会現象などが紹介され、日本に興味がある中国人にとっては、日本文化に触れる絶好の機会となった。日本でヒットした映画12作品が上海市内の7箇所の映画館で上映された。
上海環球金融中心で行われた映画祭の開幕式には話題作「悪人」の主演男優の妻夫木聡さん、監督の李相白さんが招かれ、ほかにも女優の吹石一恵さんが登場した。妻夫木さんの上海初登場に、中国人ファンからは大きな歓声が上がった。現場では映画の紹介だけではなく、日本の漫画を紹介する展示スペースも設けられた。「80後(バーリンホウ)」と呼ばれる若者世代(主に20代)が子供のころから馴染みのあるキャラクターも沢山展示され、来場者はそのような模型を指差しながら、「懐かしい」と笑顔を浮かべていた。
各映画の鑑賞チケットを入手する方法はSOHU、SINA、騰訊網という三つのポータルサイトのマイクロブログにて申し込む必要があり、抽選によって無料配布された。日本映画週間の開催前、日本映画愛好者のブログには、各作品の鑑賞希望の書き込みが大変多くなっていた。中国の若者は日本に憧れ、映画館で日本の映画を観たいと熱望している。しかし、抽選で幸運をつかむ者は少なく、また自分にとって都合のよい鑑賞日や時間帯が当たるとは限らなかった。そのため、無料招待の抽選でなく、むしろ通常の映画券より高い値段であったとしても販売してくれたほうがいいという声もあったようだ。
日本の映画は上海映画祭でたびたび話題に取り上げられた。日本の良さが映画・テレビ・アニメなどから中国及び世界へ発信されたといえるだろう。また、以前北海道でロケが行われた「狙った恋の落とし方」(中国語名:非誠勿擾)という映画は中国人の北海道旅行ブームを巻き起こした。ロケ地を中国人向けの観光スポットにしたり、歓迎ムードを演出したりすることによって、中国人観光客が急増した。
日本の中でも、茨城県は映像制作会社が集中する東京から近距離にあり、しかも、変化に富んだ自然など様々なシーンの撮影に対応できるロケ適地を数多く有していることが注目され、県内で行われる映画やテレビドラマ等のロケーションは多い。中国の映像作品に茨城の風景が使われる機会が増えていくかもしれない。
参考資料:第14回上海国際映画祭公式サイト、日中映像交流事業、新浪微博、新華網等