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中国の「花見」事情

 日本語で「花見」と言えば桜鑑賞を思い浮かべるが、中国語では花見を「賞花」と言い様々な花を鑑賞することをいう。例えば上海の場合、奉賢区の菜の花、人民公園の白木蓮、上海植物園の牡丹、鮮花港のチューリップが有名である。

 上海では春になると、旅遊局と政府機関の連携によって様々な花祭りが開催されている。浦東新区の「桃の花祭り」、奉賢区の「菜の花祭り」等がそれであるが、特に3月30日から4月20日にかけて顧村公園で開催された上海初の桜祭りは大きな話題となった。

 顧村公園は上海北部の宝山区に位置しており、車でも地下鉄(7号線)でもアクセスは便利である。総計画面積は434ヘクタールもあって上海で最大規模の郊外型森林公園となる予定である。2009年10月1日に第一期の183ヘクタールが開園し、メインである 「郊外森園」には芝生が広がり、蓮、桜、梅等が植えられている。そのうちの13ヘクタールに広がる桜の見どころ『咲き誇る桜』が大きく報道され人々の関心 を引き寄せている。これまで上海市では桜の花をテーマにした花祭りが行われたことはなく、今年開催された桜祭りが上海初の開催となったため、写真コンテスト、中国伝統衣装の遊園会、写生コンテストなど様々なイベントも同時に開催された。4月の「清明節」(日本の彼岸に相当)の祝日は、先祖の墓参りをするほ かにも春を迎えた郊外を散策するのに適した陽気になっている。今年の清明節の三連休の間は絶好のお花見日和となり、顧村公園では1日に12万人もの人達が 訪れた。

 日本の花見ではシートを敷いてお酒を飲んだりするが、中国ではあまりお酒を飲まない。公園の施設を使って バーベキューしたり、ピクニックをするというのが一般的である。また、純粋に花道を散策したり、湖でボートを漕ぎながら花を眺めたりすることも多い。先日 訪れた上海市中心部にある中山公園も、友達同士やカップル、家族連れなど多くの花見客で賑わっており、数多くの人達が桜を背景にポーズをとって写真を撮ったり日向ぼっこしたりしていた。また、家族と軽い運動をしたりゆっくりと公園を散歩したりする人の姿も見られ、お年寄りなどは集まって歌を歌ったり、踊ったり、音楽を演奏したりしていた。これらは上海の公園で見られるごく普通のシーンであるが、花見の季節にはより一層楽しげな雰囲気が感じられる。ネット上 の記事やブログでも花見の写真が数多く掲載され、特に日本文化の愛好者などが浴衣姿で花見をしている写真も掲載されている。

顧村公園に集まった大勢の花見客

 湖北省武漢市にある武漢大学には今年も大勢の花見客が殺到した。1939年から武漢大学のキャンパスに桜を植え始めてから、現在キャンパスには千本の桜 が咲き誇り中国有数の桜の名所となっている。ネット投票では「中国で最もロマンチックな桜の景色」に6割の支持を得てトップの位置を確保している。20年程前から、花見の時期になるとゴミの量を減らすために入場者数を制限し、キャンパスへの入場を有料としている。今年3月16日の土曜日には入場券売り場に長蛇の列ができ、1日20万人の花見客が訪れる記録をつくった。

 中国では「一年の計は春にあり」という諺がある。春の季節になると、花卉(かき)業者も1年の商売のために動き始める。4月13日から17日にかけて第13回中国国際花卉園芸見本市が上海国際展覧センターにて開催された。これは中国最大規模の花卉専門展示会であり、毎年上海と北京と交替で開催されている。展示会では花卉に関係する様々な商品も展示されており、植物研究所や花卉生産基地をはじめ、花用具、種苗、花卉、盆栽、肥料、包装、器、ビニールハウス、工具などを扱う各国からの業者が数多く出展していた。中国の花卉市場には巨大な潜在力が見込まれるため、オランダ、フランス、韓国等の業者は団体を組織して参加していた。日本からも花の包装・パッケージを扱う企業が出展しており、繊細な技術を売り込もうと包装の実演や商談をしていた。出展者によると、出展することで同業他社の状況を参考に、今後お互いがレベルアップしていけば中国及び上海の花市場はますます色鮮やかなものになっていくだろうとのことであった。

ドイツからの出展企業のブース

色鮮やかな花束のサンプル展示