国務院の《登録資本金登記制度改革方案》についての解説
国務院は、2014年2月7日、「登録資本金登記制度改革方案」(以下、方案という)を公布した。本稿では、その概要を以下の通りに取り纏めてみます。
一.背景
中国会社法上の最低登録資本金、または設立手続の煩雑さなどの難問は人々の起業の意欲を削ぎ、創業を諦めせざるを得ない起業者は決して少なくない。新規会社設立の「敷居」を低く設定する方案は、市場主体の参入条件への緩和、ビジネス環境の最適化、起業者の創業意欲を引き出すためである。
二.最低登録資本金限度の撤廃
方案では、法律、行政法規及び国務院は27の特定業界の登録資金の最低額を別途決める以外に、有限責任会社の最低登録資本金3万元、一人有限責任会社の最低登録資本金10万元、及び株式有限会社の最低登録資本金500万元の限度を撤廃した。
会社設立時、株主全員の最初出資比率の限度、会社株主全員の登録資本金における貨幣出資金額の出資比率の限度、及び会社株主の出資満額払込の期限を撤廃し、会社の実収資本を工商登記事項としないものとする。
三.企業住所登記手続きの簡易化
方案では、申請者は企業住所の合法使用証明を提出し、直ちに登記することができる。その経営場所条件について、各地の政府が法に従い、自ら決めるものとする。
四.年間検査手続の簡素化
方案では、企業年度検査制度は企業年度報告公示制度に、個人経営者の営業許可証検査制度は年度報告制度にそれぞれ切り替えられる。
企業は年度毎に企業信用情報公示システムを通じてネットに株主発起人の出資金払込状況、資産状況など信用情報を公示する義務がある。
方案では、全国の範囲で統一標準化電子営業許可証を推進し、ネット上の申請、受理、審査、公示、及びライセンス発行など全過程電子化登記管理を実施する。
五.与信システムの構築
与信付与メカニズムの完備の為に、国家工商行政管理総局は、「経営異常リスト制度、連携応対メカニズム、国外追究保障メカニズム」の三つの方面から着手し、規定により登録資本金応募登記制度の義務に違反し、詐欺及び違法行為のある国外投資者及びその実際統制者を「重点監視リスト」に取り入れ、且つ厳格に審査し、その将来に向けて対中投資に採用される恐れのある方法に制限を加えるものとする。
6.新主要法令
№ |
法 律 名 称 |
施行日 |
1 |
国務院の登録資本金登記制度改革方案『重要法規解説』をご参照下さい) |
2014/02/07 |
2 |
最高裁の「中華人民共和国公司法」の適用若干問題に関する規定(一)、(二)、(三)(2014修正) |
2014/02/17 |
3 |
国家工商行政管理総局の工商総局の企業年度検査工作の停止に関する通知 |
2014/03/01 |
4 |
財政部、国家発展と改革委員会、工業と情報化部等の重大技術装備輸入税収政策の調整に関する通知 |
2014/03/01 |
5 |
国家工商行政管理総局の工商総局の外商投資企業登記書式修訂に関する通知 |
2014/03/01 |
6 |
最高裁の「最高裁の融資リース契約紛争案件審理法律適用問題に関する解釈 |
2014/03/01 |
7 |
最高裁の「中華人民共和国公司法」の適用若干問題に関する規定の修正に関する決定 |
2014/03/01 |
8 |
国家工商行政管理総局の『工商総局の「中華人民共和国公司企業法人登記管理条例施行細則」、「外商投資パートナー企業登記管理規定」、「個人独資企業登記管理弁法」、「個体工商戸登記管理弁法」等規章の改定に関する決定』 |
2014/03/01 |
9 |
国家工商行政管理総局の「公司登録資本登記管理弁法」 |
2014/03/01 |
10 |
国家工商行政管理総局の「工商行政管理部門消費者苦情処理弁法」 |
2014/03/15 |
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。