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「非典型」速達のリスクを回避できるか

 速達業界の発展に伴い、新しい経営主体である集荷者は伝統の速達業に加わり、多くの荷主から荷物を請け負った後、速達会社に差出し、運賃差額を稼ぐ。集荷者はロットで荷物を引き受ける速達業務を通じて、荷主の送料コストを引き下げることにより、速達サービス市場で急成長を遂げ、一定のシェアを獲得し、伝統速達と区別する「非典型」速達モデルを作り上げた。

一.「非典型」速達荷主が直面する法的リスク

 伝統速達モデルと比べて、集荷者の介入によって取引リスクが高まる。取引流通量の増加によって流通時の荷物の紛失、毀損、配達遅延など客観的なリスクが増える中で、荷主はその責任所在の挙証難に陥り、権利保護のハードルが高くなり、その身元が集荷者に取って代わられ、運送・配達中の毀損、滅失、配達遅延が発生した場合、荷主は差出人として速達会社に求償することが難くなっている。また、集荷者の多くは小規模であり、ひいては自然人の場合が多いため、資金力や信用の不足により履行能力が乏しく、貴重品が紛失した場合、荷主は集荷者より充分な賠償を得られない恐れがある。

二.集荷者及び速達会社による責任負担

1.集荷者による荷物のコントロール段階において、集荷者は荷主から荷物を請け負い、且つ速達会社に差出し、荷主と集荷者の間で委託契約関係が成立する。「契約法」第406条に基づき、有償委託契約において、受託者の責めに帰する事由により委託者に損失を与えた場合、委託者は損失賠償を請求することができる。

2.速達会社による荷物のコントロール段階において、集荷者が荷物を速達会社に届けた後、以下の二つの運営モデルが存在する。

(1)荷主と速達会社間における契約締結

 集荷者は荷主を差出人として荷物を差出し、荷主と速達会社との間で直接、速達サービス契約関係が成立し、集荷者を荷主の代理人とする。荷物が速達会社の運送中に破損した場合、荷主は速達サービス契約に基づいて直接、速達会社に求償できる。

(2)集荷者と速達会社間における契約締結

 集荷者は自ら差出人の身分で荷物を差出し、集荷者と速達会社との間で速達サービス契約関係が成立し、荷主と速達会社との間では匿名代理が形成される。

 「契約法」第402条により、受託者が自身の名義で委託者の授権範囲内で第三者と締結する契約について、第三者が締結時に受託者と委託者との関係を知った場合、当該契約は直接、委託者と第三者を拘束する。但し、契約が受託者と第三者のみを拘束することを証明できる確かな証拠がある場合を除く。

 「契約法」第403条により、第三者が受託者と委託者との代理関係を知らなかった場合、受託者が第三者の責めに帰する事由により委託者に対して義務を履行できなくなり、受託者が委託者に対して第三者を開示すれば、委託者は受託者の第三者に対する権利を行使することができる。但し、第三者が受託者と契約を締結する時に、委託者のことを知っていれば契約を締結しない場合を除く。

 上記の条項に基づき、荷主は集荷者を通じて速達会社に求償できる。また、速達会社が締結時に受託者と委託者の関係を知った場合、又は受託者が委託者に対して速達会社を開示した場合、荷主は委託者として速達会社に求償できる。

三.荷主が権益を守る際の注意点

1.荷主は荷物を集荷者に預けた証明を速やかに取得する。

2.荷主は荷物の価値証明を保持する。

3.荷主は集荷者の営業資格、資金力を事前に審査する。

4.荷主は書面の委託契約を集荷者と締結し、委託事項や双方の権利義務、危険負担などを明確にする。

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。