代位権の行使で代金を回収せよ
事実関係
2009年11月、A社はB社と総額人民幣80万元の鉄棒の売買契約を締結した。A社が約束通り鉄棒を出荷したが、B社がその代金20万元しか支払わず、残金60万元を様々な理由で引き延ばした。
2010年5月、B社が経営不振に躓いたことを知ったA社はやむを得ず弁護士に債権回収を委託した。
調査の結果、B社がC社に対する期限満了の人民幣100万元の債権があることを知った弁護士はA社を代理し、C社を起訴し、C社に対する代位権の行使を請求した。
判決内容
人民法院は本案受理後、法によりB社を第三者として訴訟に追加した。原告A社の代位権を認め、C社のA社に対する60万元の支払いを判決した。
法律根拠
契約法第73条の規定によれば、債務者が期限満了債権の行使を怠り、債権者に損害を与えた場合、債権者は人民法院に代わって自己の名義で債務者の債権を行使できるが、その債権は債務者自身に専属するものは除外される。
コメント
- 本案では会社が会社法に決めた代位権を行使することは債権の安全を守るための重要な法律手段であることを証明した。
- 受託弁護士は会社法第73条の規定により、債務回収の戦略を立て、A社の利益を守ることが出来た。
- 債権者は債権を主張する対象が債務者に限らないことを意識すべきである。債権者は代位権の行使によって債務者の悪質な債務逃避を防ぐことができる。
- 最高裁の《中華人民共和国契約法》の適用に関する問題の解釈(一)第19条の規定によれば、代位権の訴訟において、債権者が勝訴した場合、その訴訟費用は債務者が負担し、実現した債務から優先的に支払われる。次債務者は多額な代価を支払わざるを得なくなるため、債権者による代位権の行使を積極的に協力する誘因が働くこととなる。