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虚偽訴訟による損害の法的救済はあるのか

 「虚偽訴訟」とは、当事者が不法占有を目的に、法律に定める訴訟権利を利用して虚偽の訴訟主体として事実及び証拠を捏造して民事訴訟を起こすことで裁判所の判決、裁定又は調解を図ることをいう。下記のケースは、当事者が虚偽訴訟を利用して財産の移転によって第三者の合法権益を侵害したものである。

 一.事実経緯

  A氏は、経営不振などの原因により深刻な赤字経営に陥り、債権者のB氏に巨額の債務を弁済できないという状況を作るために、A氏はその親戚のC氏と悪意をもって通謀し、A氏はC氏に虚偽借用書を提供し、C氏はA氏が債務を返済しないことを理由に裁判所に訴訟を提起した。その後、法の定めるところにより財産を移転するために、裁判所が作成した調解協議に基づいてA氏の財産とC氏の債務を相殺した。

二.コメント

 虚偽訴訟によって侵害された債権者であるB氏の合法権益は果たして守られるか。

民事訴訟法の第三者取消訴訟の規定に基づくと、虚偽訴訟による損害の法的救済について以下の通りである。

  まずは、「民事訴訟法」第56条に基づき、当事者双方の訴訟目的に対し、第三者は、独立の請求権を有すると認められる場合、訴訟を提起する権利を有する。

 当事者双方の訴訟目的に対し、第三者は独立した請求権を有さないが、案件の処理結果がその者に法律的利害関係を及ぼす場合は、訴訟参加を申請することができる。

 当該第三者は、本人に帰すべきではない事由により訴訟に参加できないが、発効する判決、裁定、調解書の全部又は一部が自己の民事権益を損なうことを立証できる証拠がある場合は、その民事権益が損なわれることを知った、或いは知り得るべき日より6ヶ月以内に当該判決、裁定、調解書を発効する人民法院に対し訴訟を提起することができる。

 また、「民事訴訟法」第112条に基づき、当事者間が悪意をもって通謀し、訴訟、調停などの方法により第三者の合法的な権利利益を侵害した場合、裁判所は、その請求を却下するものとし、情状の軽重に応じて、罰金を科し、又は拘留するものとする。犯罪を構成した場合は、法の定めるところにより刑事責任を追及する。即ち、独立の請求権を有する権利者及び利害関係者は、虚偽訴訟の当事者による侵害行為に対して民事ないし刑事制裁を求めることができる。

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。