株主は裁判所に清算委員会の指定成立を請求できるか
一.事実経緯
2008年2月8日、A氏とB氏は協議のうえ、それぞれ25万元ずつ投資してC社を設立し、会社定款を策定し、且つ企業法人営業許可証を受領した。
2009年12月、C社は企業年度検査の未実施で工商行政管理機関から営業許可証を取消されたが、A氏とB氏はC社の清算を行わなかった。
2010年6月14日、A氏はB氏が会社の財産を多く占有したと考え、弁護士にB氏宛弁護士書簡を依頼し、C社の剰余資産を整理、分配するよう求めたが、B氏は断った。
そのため、A氏は裁判所に提訴し、B氏に対し、自分と清算委員会を設置のうえ、会社の清算義務を果たすよう請求した。
二.判決
裁判所は、C社が営業許可証を取消された後、その株主が裁判所に清算委員会の指定成立を請求する権利を有するか否かについては、法律上、明確に定められていないが、C社が営業許可証を取消された状況において、A氏が株主として会社清算を請求することは「会社法」の関連規定に合致していると認め、「会社法」第183条に基づき、A氏とB氏に対し、判決書の発効日より15日以内にC社の清算委員会を設置のうえ、法により清算を行い、上記の期限を過ぎても清算を行わない場合は、裁判所が清算を委託し、清算費用はA氏、B氏がそれぞれ半分を負担すると判決を下した。
三.コメント
1.「会社法」第183条に基づき、期限を過ぎても清算委員会を設置し、清算を行わない場合、債権者は裁判所に対し、関係者を指定して清算委員会を設置のうえ、清算を行うよう申請することができる。また、債権者のほか、会社の利害関係者としての株主、従業員等が、裁判所に対し、関係者を指定して清算委員会を設置のうえ、清算を行うよう請求することもできるかどうかについては、筆者は上記債権者の概念を拡大解釈し、可能であると考える。
2.「会社法」の規定に基づき、会社が工商行政管理機関に営業許可証を取消されたことは、会社の法定解散の事由の一つであるため、その場合において会社は清算を行わなければならない。会社は解散後、その全ての対外的財産関係が不確定な状況にあり、こうした状況が債権者の債権回収に影響を及ぼすのみならず、社会の取引秩序の安定にも悪影響を与えるため、早期解決することが必要である。従って、債権者は会社が法により清算活動を行わない場合、裁判所に対し清算委員会を設置のうえ、清算を行うよう請求することができる。しかし、債権者のみならず、会社の利害関係者としての株主、従業員及び税務機関等も清算活動と直接の利害関係を有している。債権者しか裁判所に清算委員会の指定成立を請求できないのは平等保護の基本原則に反する。
3.「会社法」第182条に基づき、会社が経営困難に陥っている場合は、株主は会社解散訴訟を提起することができ、これにより裁判所は会社解散を命じることができる。しかし、経営困難に陥っている会社は経営機能が麻痺しているため、清算を迅速且つ有効的に行えない状況が少なくない。そのため、当該規定に合わせて、株主は会社が解散の判決を受けた後、裁判所に対し清算委員会を指定設立させて会社を清算するよう請求すべきである。
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。