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「三証合一」の留意点について

 国家工商行政総局と税務総局は、2015 年9 月10 日付で「三証合一に関連する業務の連結を適切に行うことに関する通知」(以下「本通知」という)を公布し、2015 年10 月1 日より全国で全面的に「三証合一」改革を展開することを決定した。本稿では、「本通知」の概要について詳しく解説する。

一.具体的な内容

 「三証合一」登記制度とは、企業が設立登記の際に工商行政管理部門、品質技術監督部門及び税務部門にそれぞれ申請して発給を受けていた従来の「営業許可証」、「組織機構コード証」及び「税務登記証」を、工商行政管理部門又は市場監督管理部門1か所に集中して申請し、法人とその他の組織の統一社会信用番号が記載されている営業許可証の発給を受け、「組織機構コード証」及び「税務登記証」が不要になるという登記制度をいう。

二.注意すべき点

1.2015年10月1日までに取得した税務登記証の使用

 2015年10月1日から2017年12月31日にかけての「過渡期」と呼ばれる移行期間においては、企業が切替を行わなかった証書を引続き使用できるが、「過渡期」終了後は、統一社会信用番号の記載がある営業許可証を使用しなければならず、税務登記証は不要になる。

2.新設会社の「三証合一」営業許可証取得後の税務機関への手続き

 税務機関は、工商行政管理部門又は市場監督管理部門に対し「三証合一」営業許可証を取得した新設会社への「三証合一登記制度における税収に係る事項告知書」の発給及び主管税務機関の住所、連絡先の告知を依頼し、新設会社は「三証合一登記制度における税収に係る事項告知書」記載の税務機関に税収手続を行う。

3.新設会社が初回の税収手続を行う場合の税務機関との連携

 新設会社は「三証合一」営業許可証取得後、社印及び「納税者告知書」記載の資料(会社の授権委託書でも可)を持参し、主管税務機関に以下に掲げる情報を提供する必要がある。

(1)従業員数(外国人従業員を含む)

(2)適用している会計制度

(3)投資総額

(4)投資者の身分証明書の種類、番号、国籍又は住所、会社類型

4.「三証合一」実施後の企業の税務変更手続き

(1)生産経営住所、財務責任者、採算方式に変更があった場合、主管税務機関に直接変更申請を行う。

(2)既存企業(2015年9月30日までに新設登記を行った企業)が工商行政管理部門又は市場監督管理部門に変更登記を行う際は、工商行政管理部門又は市場監督管理部門は「三証合一」営業許可証を受領していない企業に統一社会信用番号の記載がある営業許可証を発給するとともに、従来の税務登記証を回収する。

(3)企業名称、登記登録類型、投資者の情報を変更する場合には、工商変更を行ったうえ、直ちに主管税務機関に変更申請を行わなければならない。

5.企業が税務登記証を紛失した場合における「三証合一」の変更登記の手続き

 従来の税務登記証を紛失した場合には、企業は税務登記証を紛失した旨の新聞公告と工商行政管理部門又は市場監督管理部門への変更申請を行う。

6.企業住所の変更に伴う主管税務機関の調整

 企業住所変更に伴う主管税務機関の調整の場合は、「上海市国家税務局、上海市地方税務局の本市における企業の区/県外移転の税務登記申請方法に関する公告」(上海市国家税務局、上海市地方税務局公告2012年第1号)に従い関連手続を行う。(上海市内企業の場合)

7.「三証合一」の実施による納税者識別番号などへの影響

 2015年10月1日以降に新設した企業は、統一社会信用番号だけで税収に係る手続きを行うことができる。2015年9月30日までに新設した企業は、「過渡期」においては従来の納税者識別番号を引き続き使用して税収に係る手続を行うことができ、インターネットへのアクセス、納税申告、偽装防止税控設備(税務署とリンクしており、領収書発行後、データが税務署に送信され、領収書の乱発を防ぐ装置)の使用に影響はない。

8.切替の「三証合一」営業許可証取得後の企業発票専用印鑑の取扱い

 2015年9月30日までに設立した企業が、切替の「三証合一」営業許可証取得後、「過渡期」においては従来の企業発票専用印鑑を使用することができる。

9.「三証合一」営業許可証取得企業の抹消登記手続き

 既に「三証合一」営業許可証を取得した企業は抹消登記手続きを行う際、税務部門への納税済み手続完了後、税務部門が発給する「納税済み証明」を以って工商行政管理部門又は市場監督管理部門に抹消登記を行うことができる。

10.「三証合一」営業許可証を受領していない企業の抹消登記手続き

 「過渡期」において「三証合一」営業許可証の切替を行わなかった企業が抹消登記手続きを行う際は、主管税務機関は従来の規定により対応する。

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。