国家税務総局の「重大税収違法案件情報公布弁法(試行)の改定に関する公告」
国家税務総局は、2016年6月1日より改定版の「重大税収違法案件情報公布弁法(試行)の改定に関する公告」(以下、「本弁法」という」の施行、並びに2014年10月1日より施行された「国家税務総局の「重大税収違法案件情報公布弁法(試行)」の配布に関する公告」の同時廃止を決定した。なお、「本弁法」は計18条で構成されている。ここに「本弁法」の趣旨を以下のとおり紹介します。
一、背景
税務総局は2014年10月1日より「重大税収違法案件情報公布弁法(試行)」を実施してから、今日まで案件公布基準の不統一、審査手続きの煩雑、情報伝達の遅延、処罰責任主体の不明確、救済手段の欠乏など問題に直面しその解消の手立てとして改訂版を取りまとめ、2016年6月1日から実施する運びとなった。
二、改定の内容
改訂後の本弁法は重大な税収違法案件の公布原則、案件基準、公布内容、方式、救済措置、情報保存、処罰措置など計18条で構成される。
- 案件基準の改定
重大税収違法案件標準の改正は今回の改訂の重点であり、本弁法での「重大税収違法案件」とは下記の基準を満たす案件をさすものである。
- 納税人は帳簿、記帳証憑の偽造、変造、隠匿、棄却、または帳簿に収入を過大計上、過小または計上せず、税務機関の申告通知を拒み、または虚偽の納税申告、税金の未納または過小納付、取調べで補足税金100万元以上、且ついずれかの補足税額は当年度各種納税総額10%以上を占めること、
- 納税人は税金を納付せず、財産の移転または隠匿の手段を取り、税務機関の未納追徴を妨害し、未納税額100万元以上、
- 架空輸出またはその詐欺手段で国家の輸出還付金の詐取、
- 暴力、脅迫方法で納税を拒否したこと、
- 架空増値税専用領収書の発行、その他の税金控除領収書の不正発行、
- 架空普通領収書100枚の発行または金額40万元以上、
- 勝手に領収書の印刷、偽造、変造、領収書偽造防止専用品の違法製造、領収書監制印の偽造。
前項規定に合致する重大な税収違法案件に関しては税務査察局は、「税務処理決定書」または「税務行政処罰決定書」を作成し、且つ当事者が法定期間内に行政復議の申請または行政訴訟の提起をせず、或いは行政復議または裁判所による本案件に対する最終的な効力の確定を経て本弁法によって処理する。
2、公布方式の改定
本弁法の公布方式は各省、自治区、直轄市レベルの税務局フラットフォームを通じて対外に公布することによって、税収の「ブラックリスト」制度の社会影響力及び威力を高める。
3、救済措置の追加
本弁法の公布前、当事者がすでに税金、滞納金及び罰金を納付済みの場合、税務機関は案件公布情報システムのみに記録する。本弁法の公布後、当事者が税金、滞納金及び罰金を一括納付した場合、税務機関は公告欄から削除し、且つその情況を関係処罰部門に連絡する。
4、情報永久保存の追加
案件情報は一旦重大な税収違法案件公布情報システムに入力したら、納税者の信用記録として永久に保存し、対外に公布したか否か、取り消したかどうかを問わず、税務機関は当事者に厳重な税収管理を継続して行う。
5、懲戒措置の改正
(1)納税信用レベルがD級と直接に判定された場合、かかるD級納税人に相応しい管理措置を取る。
(2)調べで補足納税の納税者またはその法定代表者は、出国前までに規定に基づいて税金、滞納金を完全に納付せずまたは納税担保を提供しないかぎり税務機関は「中華人民共和国税収徴収管理法」の関係規定に基づいて出入国管理機関に知らせ、その出国を阻止することができる。
三、最近の法律情報
№ | 法 律 名 称 | 施行日 |
11 | 国家税務総局の「重大税収違法案件情報公布弁法(試行)の改定に関する公告」『重要法規解説』をご参照下さい) | 2016/06/01 |
22 | 国家税務総局の「営業税を増値税に変更するテスト若干徴収管理問題の明確に関する公告」 | 2016/05/01 |
33 | 最高裁の「消費民事公益訴訟案件審理の法律適用若干問題に関する解釈」 | 2016/05/01 |
44 | 人力資源社会保障部、財政部の「段階的に社会保険費率の引下げに関する通知」 | 2016/05/01 |
55 | 税関総署の「輸出入貨物通関書類と越境貨物届出リスト格式の改定に関する公告」 | 2016/04/08 |
66 | 全人大常務委員会の「中華人民共和国における国境外非政府組織の国境内での活動管理法」 | 2017/01/01 |
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。