中国における経営異常の企業はどれぐらいあるか
2014年10月1日、「企業情報公示暫行条例」の施行を開始し、企業情報公示制度は正式に確立された。2015年6月30日を締切日に中国工商部門は中国全土にわたる2154.51万社企業の登録情報を公開した。
中国における経営異常の企業は果たしてどれぐらい存在しているか注目されている。2015年7月14日、国家工商行政管理総局は、その企業年度報告情報システムの整備後、初めて中国全土の経営異常の企業数258.59万社の統計数字を発表した。
1、経営異常企業の284.01万社
2015年7月14日までに、経営異常名簿に列挙された企業は284.01万社、全国登記企業の12.38%を占める。その内、経営異常企業は258.59万社、91.05%を占める。経営異常企業の中には、内資企業が253.88万社、外資企業が4.71万社である。
経営異常リストに掲載された原因は以下の通り分けられている。
原 因 | 会社数 |
期限通りに年度報告を行わない企業 | 256.87万社 |
期限通りに企業関連情報を公示しない企業 | 7.02万社 |
事実を隠蔽した企業 | 4357社 |
登記住所又は経営場所との連絡を取れない企業 | 40.95万社 |
経営異常企業のうち、情報の提供後、又は修正後経営異常名簿から削除された企業 | 12.57万社 |
経営異常企業の中、未削除の企業 | 271.44万社 |
期限通りに年度報告を行った企業でも工商部門によって問題視された場合、異常リストに掲載される恐れがある。
2015年上半期、工商総局は、全国で企業の即時情報公示状況を、1%を超えない割合で調査したところ、調査対象の177,255社のうち、正常と認められた企業が132,727社、74.88%を占め、問題視された企業が43243社、24.4%を占めると明らかにした。
経営異常リストに掲載
原 因 | 会社数 |
期限通りに即時情報を公示しない企業 | 9,162社 |
事実を隠蔽した企業 | 84社 |
登記住所との連絡を取れない企業 | 27,523社 |
検査部門に協力せず、状況が厳重な企業 | 221社 |
経営異常リストに掲載、又は掲載される予定の企業 | 16,307社 |
された原因は、次の通り分けられている。
企業は経営異常リストに掲載された事由について掲載日から3年満了した後抹消されなかった場合、厳重違法企業のリストに入れ替えられ、その結果として政府の調達、工事入札、国有土地の譲り受け、栄誉授与などの制限または禁止を受ける。
2、一部地域の経営異常企業数の公表状況
(1)江蘇省345481社(2015年7月15日時点)
(2)上海市約18万社(2015年6月30日時点)
(3)浙江省約10万社(2015年6月30日時点)
(4)北京市5万社(2015年6月30日時点)
(5)山東省8万社(2015年6月30日時点)
(6)河南省103535社(2015年11月18日時点)
(7)四川省41823社(2015年6月30日時点)
(8)広東省8万社(2015年末時点)
3、資本金払込の回避
2014年3月より、投資者の負担を軽減し、企業の利便を図るために、全国で新規企業の登録制度改革が実施され、過去の登録資本の払込登記制が引受登記制へと変更された。但し、引受登記制というのは、資本金を払わないという意味ではない。2015年上半期、工商部門は企業の出資情報について調査を行った。定款の修正によって出資義務を回避しようという企業も発覚された。
4、「ブラックリスト」企業はレベルごとに監督される
現在、国家工商行政管理総局を初め38部門は経営異常リストに記載されている企業に対する懲罰メカニズムの策定を模索している。国家工商行政管理総局は「厳重違法企業リスト信用管理弁法」、いわゆる「ブラックリスト」監督弁法を策定する予定である。
地方レベルにおいては、例えば、江西省南昌市は、信用を失う企業を厳重違法程度に応じて「緑色、黄色、オレンジ色、赤色」の四レベルに分けられる摸索も始めている。
政府は、企業与信評価は行っていないが、企業の与信情報を公開することによって社会的監督の実現を目指している。
5、信用監督統一は今年実現する見込み
整備済の企業信用情報公示システムは累計訪問者数が既に40億人を突破し、毎日の訪問者が1000万人近くに達したが、同システムは工商部門が把握した情報と企業自身が報告した情報に限られている。統計によると、企業を審査批准する権利を持っている政府部門が56あるが、工商部門以外のその他の政府部門の企業に係わる行政処罰と行政許可に関する情報が公示されたのは未だ少ない。
国家工商行政管理総局は既に国家発展改革委員会に「国家企業信用情報公示システム」見直し方案を提出した。今の工商総局の公示システムに比べ、同方案は国レベルの企業信用情報公示システムの導入を目指し、今の監督不十分な問題を徹底解決する狙いである。
以上
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。