「〈中華人民共和国税関検査条例〉の改正に関する国務院の決定」について
2016年7月1日、国務院は、「〈中華人民共和国税関検査条例〉の改正に関する決定」(以下、改正版という)を公表、2016年10月1日から施行する。改正版は合計六章、34条から構成され、その主な内容は以下の通りである。
1、背 景
国務院が1997年1月3日に公布施行した「中華人民共和国税関検査条例」は中国の税関検査制度を確立した。同条例は2011年1月8日、初回、改正された以降、対外貿易の発展に伴い、税関への通関利便性の要望、更に輸出入貨物の検査及び輸出入手続きの真実性と合法性の監督の要求が高まってきた。こうした問題に対応するため、国務院は、実情に合わない現行の条例の二回目見直しをし、改正版の公布実施を決めた。
2、主な改正ポイント
(1)税関による検査を実施する保障措置の増加
改正版により、税関は検査業務の必要性により、関連業界協会、政府部門及び関連企業に対して、特定商品、業界及び輸出入活動に関連する情報を収集し、且つ関係企業の輸出入信用状況及びリスク状況に基づいて税関の検査重点を確定することができる。
(2)税関の検査手順の規範及び完備
改正版により、税関は、事前に通告無き検査する状況は、被検査人が重大な違法嫌疑があり、その帳簿、証憑など関連資料及び輸出入貨物を移転、隠匿、棄却するなど緊急状況に限るものとし、検査報告を被検査人に送付、意見徴収を求める状況は、「検査報告は被検査人が違法の嫌疑があると認定」した場合に限定し、且つ、「検査報告は認定した事実」に関する意見だけを聴取するものとする。
一方、従来のコンピュータによる記帳、会計計算を行う関係企業が会計記録を書面記録に印刷、保管する規定、及び関係企業が税関に対する輸出入貨物の購入、販売、加工、使用、消耗及び在庫状況資料の届出をする規定は削除された。
(3)税関の検査職権及び措置の完備
改正版は、税関法関連規定及び税関検査の必要により差押強制措置の規定を追加し、且つ電子データ記憶媒体を差押、押収することが出来ると明確にした。さらに税関は会計、税務など専門機構に関連問題に関する特別調査を依頼するだけでなく、被検査人より依頼された専門機構が出した専門的な結論を税関の検査の参考根拠とすることもできると決めた。
(4)違法行為への寛厳補完のある懲罰
改正版は、違法行為に対する罰金額を引き上げる一方、輸出入貨物と直接関係のある企業が税関に自主的にその税関監督管理規定に違反する行為を報告し、且つ税関の処理を受け入れる場合、行政処罰を軽くし、または軽減しなければならないと決めた。
最近の主要法令
№ |
法 律 名 称 |
施行日 |
1 |
国務院の「〈中華人民共和国税関検査条例〉の改正に関する決定」『重要法規解説』をご参照下さい) |
2016/10/01 |
2 |
人力資源社会保障部の「雇用企業の労働雇用と社会保険法律法規を遵守する情況特別検査の展開に関する通知」 |
2016/06/01 |
3 |
国家外貨管理局の「資本項目為替管理政策の改革と規範に関する通知」 |
2016/06/09 |
4 |
最高裁の「虚偽訴訟の防止と制裁に関する指導意見」 |
2016/06/20 |
5 |
最高裁の「虚偽訴訟の防止と制裁に関する指導意見」 |
2016/09/01 |
6 |
全人代常務委員会の「中華人民共和国資産評価法」 |
2016/12/01 |
以 上
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。