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重要法規解説~重大労働保障違法行為社会公布弁法

 2016 年 9 月 1 日、人力資源と社会保障部は「重大労働保障違法行為社会公布弁法」(以下、弁法という)を公布、2017 年 1 月 1 日から施行する。弁法は合計 13 条から構成され、その主な内容は以下の通りである。

1、背  景

 2015 年度人力資源と社会保障事業発展統計公報によると、2015 年各地労働人事争議調停組織及び仲裁機構が処理した争議件数は 172.1 万件、前年比 10.4%増。また、全国各レベル労働保障監督機構は、192.5 万社を検査し、労働者 9569.1 万人に及び、労働保障違法案件 38.9 万件を処理し、481.4 万人の労働者(その内、出稼ぎ農民は 385.9 万人)のために賃金 421.2 億元(その内、出稼ぎ農民への未払い賃金は 331.6 億元)などを取りたて、労使間の労働契約 307.1 万通の補足締結と、3.9 万社に社保登録手続きを督促したことを明らかにした。「弁法」の公布及び実施は、中国経済のここ数年の急拡大から一転、陰りが見えてきた中で、こうした労働保障違法行為の多発に歯止めを掛け、世論の監督、使用者の順法の促進のためになれるか注目されたい。

2、重大な労働保障違法行為の認定

「弁法」第五条は下記の七種類の重大な労働保障違法行為に対して社会に公布すべきことを明確にした。

(1)理由無く労働者労働報酬を減額、滞納して、金額が比較的に大きいこと、労働報酬の支払いを拒み、法によって司法当局に移送し刑事責任を追究する場合

(2)法によって社会保険の加入或いは社会保険料を納めず、情状が厳重な場合

(3)勤務時間と休憩休暇規定を違反し、情状が厳重な場合

(4)女性職員と未成年仕事特殊労働保護規定を違反し、情状が厳重な場合

(5)児童工使用禁止規定を違反した場合

(6)労働保障違法行為によって社会に重大な悪影響を与えた場合

(7)その他の重大な労働保障違法行為があった場合

3、公布内容

 「弁法」第六条は、重大な労働保障違法行為に対して社会に公布する4項目の具体的な内容を明確にし、即ち、違法主体全称、統一社会信用コード(あるいは登録号)および住所、法定代表者または責任者氏名、主な違法事実と関係処理情況を含まれるが、国家秘密、商業秘密および個人プライバシーなどの情報を公表してはならないとする。

4、公布方法

「弁法」第七条は、社会に公布する主なアプローチとしては、人力資源と社会保障部門ポータルサイト、または同時に地元主要新聞紙、テレビなどのメディアを通じて重大労働保障違法行為を公布すると決める。

 また、「弁法」第十条は、上記のような使用者に対して、その違法行為及び社会に公布した情況を使用者労働保障遵法信用ファイルに記入し、人力資源と社会保障部門の信用システムに納入し、他部門と情報の共有と連合懲戒を実施し、使用人の違法コストを重くさせるとする。

5、救済措置

 「弁法」第十一条は、使用者より社会に公布した内容に異議を申し入れられた場合、取り調べる人力資源保障行政部門は、申し入れを受けた日から 15 日勤務日以内に再確認、処理した結果を使用者に通知する。重大な労働保障違法行為処理決定は法によって変更、または撤回された場合、関係部門はそれを変更または撤回した日から 10 日勤務日以内に社会に更正した内容を公布するものとする。

最近の主要法令

 

法  律  名  称

施行日

人力資源と社会保障部は「重大労働保障違法行為社会公布弁法」『重要法規解説』をご参照下さい)

2017/01/01

国家税務総局の「増値税領収書管理状況特別検査の展開に関する通知」

2016/09/06

国家食品薬品管理総局の「食品薬品生産経営者への遡及体系の完備推進に関する意見」

2016/09/22

全人代常務委員会の「「中華人民共和国外資企業法」など四部法律の改定に関する決定」

2016/10/01

国家工商行政管理総局の「外商投資企業の届出管理実施後関連登録業務の完備に関する通知」

2016/10/01

国務院弁公庁の「「消費品基準と品質のレベルアップ計画」(2016-2020年)の配布に関する通知」

2017/01/01

以 上

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。