休業期間はどの機関の発行した証明書に準ずるべきか?
裁判所は、交通事故で人身損害がある案件の審理に当たって、被害者の休業期間の算定に必要な証拠として被害者の会社の休業証明書、医療機関の診療証明書または鑑定機構の鑑定意見書のいずれかの一つを使う。実際に、被害者の会社の休業証明書は直接にその休業期間の算定根拠とされるケースは少ないが、もし、医療機関の診断証明書と鑑定機構の鑑定意見書が共存している場合、どちらを基準とすべきか意見が分かれている。。
意見1.
1つ目の意見としては、鑑定機構が発行する休業期間を基準とすべき。つまり、鑑定機構の鑑定意見書は医療証明書よりもっと強い証明力を有する。現在、医療機関の診断証明書に関する統一、強制的なルールは未確立の状況にあり、鑑定機構の鑑定意見書は医療機関の診断証明書より強く扱われる
意見2.
2つ目の意見としては、医療機関が発行する診断証明書に記載される病欠治療期間を基準とすべき。『人身損害賠償事件審理の法律適用若干問題に関する最高裁の解釈』(以下、「解釈」という)の第20条は「休業期間は被害者が治療を受ける医療機関が発行する証明書によって決められる」としている。
考察
では、上記の意見はどちらが適切かを考えてみよう。
まず、「『中華人民共和国民法通則』の執行に関する若干問題の意見「試行」の配布に関する最高裁の通知」(以下、「通知」という)の第143条により、「被害者の休業期間は、その実際の損害程度、回復状況及び医療証明書あるいは法医鑑定などの証明書を根拠として認定すべきだ」。一方、「解釈」の第20条第2項により、「休業期間は被害者が治療を受ける医療機関の発行する証明によって決められる。被害者は傷害で継続的に休業する場合、休業期間は障害と確定された日の前日までと算定することができる」。「解釈」は人身損害に関する特別法であり、且つ公布した期日は『民法通則』より遅れ、新法は旧法より優先、特別法は一般法より優先されるという原則に従って、後者の「解釈」を適用すべき、即ち、医療機関の発行した期間に準ずるべきである。
次は、鑑定機構は通常、被害者の受傷状況に鑑み、公安部の公布した「人身損害の受傷者の休業損失日評価準則」の規定に依拠し、鑑定結論を下す。実際に多くの被害者は退院前か退院後まもなく障害鑑定と休業期間の鑑定を行い、このように算定された休業期間は入院した日から障害と定まった日の前日までの休業期間より長くなる。また、被害者があえて傷害完治後障害鑑定を遅らせたこともあり、鑑定機構の認定した休業期間は入院日から障害と定まった日の前日までの休業期間より短くなり、期間算定の不一致をもたらしてしまう。
最後に、受傷で障害を致したが、持続的に休業していない場合には、休業期間の算定は障害と定まった日の前日までとしてはならない。
結論として、二つ目の意見は妥当であると考えられる。
以 上
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。