茨城県上海事務所 > 中国法律情報 > 「税務システム「放管服」改革の更なる深化、税収環境の 最適化に関する若干意見」についての解説

「税務システム「放管服」改革の更なる深化、税収環境の 最適化に関する若干意見」についての解説

 国家税務総局は、2017年9月14日付の「税務システム「放管服」改革の更なる深化、税収環境の最適化に関する若干意見」(以下、「意見」という。)を公布、施行することを決めた。本稿では30条で構成された「意見」の概要を以下のとおり取りまとめる。

1、改革スケジュール

 意見が掲げる「放管服」(「放」は、地方分権、市場参入の敷居を引下げること。 「管」は、公正な監督と公平な競争を促すこと。「服」は、効率的なサービスと便利なビジネス環境を作ること。)の改革は、まず、2017年10月から北京、上海、広州、深圳、江蘇省(市)の国税局、地方税務局で試験的に行う。2018年2月までに税務改革にかかわる一連の措置が打ち出され、納税者の納税手続きの負担を軽減、2018年10月末までに放管服の効果を上げ、2018年10月以降、その他の改革と相まって、税収システムの再構築を実現し、民間の創業意欲、イノベーションの活力を喚起する。

2、主な任務

①税務行政承認の最適化。納税者信用スコアによって増値税専用領収書の最高発行金額と発行数量を決め、最高発行限度金額の審査許可を取消し、納税者の生産経営の利便性を図る。

②納税者の手続きの簡素化。外地(※1)での経営税収管理証明を取りやめ、オンライン申告審査を通じて、納税者の移転・登記抹消手続き・市場撤退の簡便化を実現する。

(※1:管轄国税局以外の地)

③税務書類の届出の簡素化。2018年末までに現行の届出書類の4分の1以上を削減。税務届出書類リスト管理を導入し、小型零細企業の財務諸表の提出は、毎月から四半期ごとに変更し、税務書類の電子化を推進する。

④税務専任管理者制度の改革。属地固定納税者の管理から分類、レベル別管理への転換の要求に従って、税収専任管理者の職責を確定し、リスク対処を重点とする事後管理を行うよう管理モデル転換を実現する。

⑤国税局と地方税務局は、実名情報を相互に認識し、1回の収集で複数回、数か所での使用を実現し、実名の身元情報を活用し、関連添付資料を取り纏め、税務取扱の流れを簡素化し、与信管理を強化し、領収書の不正入手、発行代行などの税金に係わるリスクを防止する。

⑥実名税務登記の完全な実施。国税局と地方税務局との間で企業の種類、税務リスクなどの要素により、実名情報の採集範囲の確立、連携し、税務システム内部の逃避追跡リスト作り、異様な数の普通領収書発行、架空の増値税領収書の発行、脱税、疑われた税金詐欺、異常な納税者、D クラスの信用世帯および他のリスク情報を共有し、地域間の危険監視機能を連携しながら高める。

⑦納税申告の便利化。オンラインの申告機能を提供し、増値税、消費税、企業所得税など税種申告表を減らし、納税者の納税申告準備時間を短縮する。

⑧税務処罰行政の規範化。各省国税局、地方税務局は税務行政処罰裁量規準を共同制定し、重大な税務処罰に対して集団審議を行い、行政裁量幅を縮減する。

⑨電子税務局整備の加速化。各省オンライン税務サービスのアップグレード、電子税務局の統一規準の確立、納税者の申告、納税、領収書の申請、発行のオンライン処理の実現、税務者の納税関連事項の迅速対応を図る。

 

以 上

最近の主要法令

  

法  律  名  称

施行日

 国家税務総局の「税務システム「放管服」改革の更なる深化、税収環境の最適化に関する若干意見」『重要法規解説』をご参照下さい)  2017/09/14

 国家税務総局の「税務行政処罰(簡易)執行文書の改定に関する公告  2017/09/15

 税関総署の「税関税費電子支払作業手順の簡素化に関する公告」  2017/09/21

 国家税務総局の「区域を跨る税金に関わる事項申告検査管理制度の更新に関する通告」  2017/09/30

 国家インターネット情報弁公室の「インターネットグループ情報サービス管理規定」  2017/10/08

 国家インターネット情報弁公室の「インターネットユーザー公衆アカウント情報サービス管理規定」  2017/10/08

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。