「労働人事争議の仲裁・訴訟間の連携機能構築の強化に関する 人力資源社会保障部、最高裁の意見」について
人力資源社会保障部、最高裁は、2017年11月8日付の「労働人事争議の仲裁・訴訟間の連携機能構築の強化に関する意見」(以下、「意見」という。)を公布した。本稿では「意見」の概要を以下の通り、取りまとめる。
1、背景
ここ数年来、全国で労働人事争議の仲裁・裁判において争議受理範囲の不統一、法律の適用基準の不統一、プロセス連携の不規範などの問題が存在しており、争議処理の結果と効率に影響し、仲裁・司法の信用力の低下をもたらした。「通知」の公布実施の狙いは前記の問題の解消、仲裁・訴訟間の連携機能構築の強化、労働人事関係の維持と社会の安定に寄与するためである。
2、仲裁・裁判の受理範囲と法律適用規準の統一
1)仲裁・裁判の受理範囲を段階的に統一させる。各地労働人事争議仲裁委員会(以下、「仲裁委員会」という。)と裁判所は「中華人民共和国労働争議調停仲裁法」等の規定に従い、社会保険争議、人事争議などの紛争の受理範囲を段階的に統一させる。仲裁委員会が労働人事紛争の受理立案制度を改善・完備化し、案件があれば、必ず立案することを法に従い徹底し、条件のある場合に立案登記制の実行を探索することができ、仲裁前置の機能・役割を確実に発揮させる。
2)仲裁・裁判の法律適用範囲を段階的に統一させる。法律規定が不明確などの原因で仲裁・裁判の法律適用基準の不一致をもたらす目立つ問題に関して、人力資源部社会保障部は、最高裁と連携し司法解釈または指導意見を制定する形式を通じて、統一の法律適用基準を明確化する。
3、仲裁・裁判とのプロセス連携の規範
1)受理プロセス連携を規範し、仲裁プロセスを経ずに裁判所に直接に起訴する労働人事争議案件に対して、裁判所が受理しないことを裁定しなければならず、既に受理された案件に対して、起訴を却下し、当事者に管轄権を有する仲裁委員会に対して仲裁を申し入れることを通告しなければならない。当事者は、仲裁委員会の期限を過ぎてもまだ仲裁裁決を作り出せないことに起因して裁判所に起訴し、かつ裁判所が立案して受理する場合、裁判所が即時に当該案件の受理状況を仲裁委員会に告知しなければならならず、仲裁委員会が当該案件の審理終止を直ちに決定しなければならない。
2)保全プロセス連携を規範し、仲裁委員会は、仲裁段階に雇用者が財産などを移転、隠蔽した行為によって裁決の執行難をもたらした場合、労働者に対して仲裁機構を通じて裁判所に保全申請を通告しなければならない。労働者が保全を申請した場合、仲裁委員会は直ちに裁判所に申請書及び仲裁案件受理通知書など関連書類を移管しなければならない。裁判所は保全措置の採用または申請の却下を裁定した場合、裁定書を申請人に送達すると共に仲裁委員会に通知しなければならない。
3)執行プロセス連携を規範し、仲裁委員会は法により、先行執行を裁決した場合、執行権を有する裁判所に先行執行裁決書、裁決書の送達引換証またはその他の送達証明書類を移管しなければならない。裁判所は、仲裁委員会の裁決書、調停書の執行を強化し、労働報酬、労災保険待遇、特に集団労働人事紛争など案件の執行力を一層強めなければならない。
3、仲裁・裁判との連携機能の完備
1)連合会議制度を確立する。各地人力資源社保部門と裁判所は定期的または不定期に連合会議を開き、労働人事争議処理情報を共有し、争議仲裁・裁判の受理範囲、プロセス連携、法律適用基準などの問題について協議し、仲裁・裁判との有効な連携を推進する。
2)難易度の高い複雑な案件の指導制度を創設し、各地仲裁委員会と裁判所は複雑、重大な労働人事争議案件の討議と交流を強化し、典型的な案件を連携して選出、配布し、典型案件の仲裁・裁判の法律適用の基準、仲裁・裁判審理の自由裁量度、争議当事者への対応を統一するよう指導的な役割を果す。
以 上
最近の主要法令
№ |
法 律 名 称 |
施行日 |
1 |
人力資源社会保障部、最高裁の「労働人事争議の仲裁・訴訟間の連携機能構築の強化に関する意見」『重要法規解説』をご参照下さい) | 2017/11/08 |
2 |
国家食品薬品監督管理総局の「食品経営許可管理弁法」 | 2017/11/07 |
3 |
国務院の「中華人民共和国増値税暫定条例」 | 2017/11/19 |
4 |
国家税務総局の「国税地税連携税務処理に関する指導意見」 | 2017/11/22 |
5 |
国務院の「中華人民共和国スパイ防止法実施細則」 | 2017/11/22 |
6 |
税関総署の「部分消費品輸入関税の調整に関する公告」 | 2017/11/27 |
7 |
国家品質監督検検総局の「輸入食品生産企業届出管理規定」 | 2018/01/01 |
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。