第一審渉外民商事案件級別管轄基準及び所管処理 関連問題に関する最高裁の通知
最高裁は2017年12月7日付「第一審渉外民商事案件級別管轄基準及び所管処理関連問題に関する最高裁の通知」(以下、「通知」という)を公布し、2018年1月1日より実施した。本稿ではその「通知」の概要を以下の通り取りまとめます。
1、第一審渉外民商事案件級別管轄基準
(1)北京、上海、江蘇、浙江、広東省高裁、直轄市中級裁判所、省所在市、経済特区等の所在地の市中級裁判所、その他の中級裁判所は、それぞれ管轄する訴訟物の価額は2億人民元以上、2000万人民元以上、1000万人民元以上とする。
(2)天津、重慶、河北等13省高裁、直轄市中級裁判所、省所在市、経済特区等所在地の市中級裁判所、その他の中級裁判所は、それぞれ管轄する訴訟物の価額は8000万人民元以上、1000万人民元以上、500万人民元以上とする。
(3)貴州等3省2自治区高裁、省・自治区所在市等中級裁判所、その他の中級裁判所はそれぞれ管轄する訴訟物の価額は2000万人民元以上、200万人民元以上、100万人民元以上とする。
2、下記の案件は裁判所の渉外審判法廷あるいは専門合議法廷が審理する。
(1)当事者一方あるいは双方は外国人、無国籍者、外国企業あるいは組織、または当事者一方あいは双方の経常居住地は中国領域以外にある民商事案件。
(2)民事関係の発生、変更、あるいは消滅する法律事実は中国領域外に発生し、または目的物は中国領域外にある民商事案件。
(3)外商投資企業の設立、出資、株主資格の確認、利益配当、合併、分割、解散等の該当企業に関連する民商事案件。
(4)一方の当事者は外商独資企業である民商事案件。
(5)信用状、保証状紛争案件、保全の支払中止申請案件を含む。
(6)上記1-5項目案件の管轄権異議に対する上訴案件
(7)上記1-5項目案件の発効裁判に対する再審を申請した案件、但し、当事者が法によって元の審理裁判所に再審を申し入れたことについては除外される。
(8)越境破産の協力案件
(9)民商事司法協力案件
(10)最高裁の「仲裁司法審査案件所管処理関連問題に関する通知」「法(2017)152号」に決めた仲裁司法審理案件
上項に決めた民商事案件には婚姻家庭紛争、相続紛争、労働争議、人事争議、環境汚染権利侵害紛争及び環境公益紛争を含まない。
3、海事案件及び知的財産権案件は「通知」を通用されない
4、「通知」の実施前受理した案件は「通知」を適用されない
以 上最近の主要法令
№ |
法 律 名 称 |
施行日 |
1 |
最高裁の「第一審渉外民商事案件級別管轄基準及び所管処理関連問題に関する最高裁の通知」『重要法規解説』をご参照下さい) | 2018/01/01 |
2 |
財政部、国家税務総局の「企業の海外所得税控除免除政策問題に関する通知」 | 2017/01/01 |
3 |
財政部、国家税務総局、国家発展改革委員会の「海外投資者の利益配当による直接投資に対する仮払所得税暫時不徴収政策問題に関する通知」 | 2017/12/21 |
4 |
国務院の「自由貿易試験区行政法規、国務院公文と国務院の批准した部門規則規定の暫時調整に関する決定」 | 2017/12/25 |
5 |
最高裁の「仲裁司法審査案件審理若干問題に関する規定」 | 2018/01/01 |
6 |
財政部、国家改革発展委員会、工業情報化部の「重大技術装備輸入税収政策関連目録の調整に関する通知」 | 2018/01/01 |
7 |
国務院の「中華人民共和国環境保護税法実施条例」 | 2018/01/01 |
8 |
税関総署の「加工貿易台帳保証金制度を全面的に取消する過渡期完了後関連業務処理事項に関する公告」 | 2018/02/02 |
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。