茨城県上海事務所 > 中国法律情報 > 「無期限労働契約」への対策があるのか

「無期限労働契約」への対策があるのか

 2008年1月1日より施行された「労働契約法」は今年10年目を迎えた。「無期限労働契約」は「労働契約法」の立法の際、関係者の間で多く議論された焦点中の焦点である。今日までに至って、企業側には、無期限労働契約の締結は企業の雇用自主権を侵害し、人材の流動を停滞させ、新たな「鉄飯碗」(「鉄の飯茶碗」。かつて国営企業等に見られた、解雇され食いはぐれる心配のない雇用待遇)の形成につながるとの声も聞かれる。

 実際に、無期限労働契約の締結後、「労働契約法」に定めた会社による一方的な契約解除の状況がない限り、会社は、賠償金を支払う場合を除き一方的に契約を解除できず、その契約を維持しなくてはならない。従業員は、法の保護を悪用し、厳重な紀律違反に当たらないようぎりぎりで仕事を怠けたりして、会社から給与の「泥棒」をする。会社は法定の理由がなく、怠業の従業員を解雇したら、逆に従業員に労働仲裁に訴えられ、違法解約と認定され、気に食わない従業員を雇い続けるか、賠償金を支払うかの羽目になってしまう。会社にそのような状況を避けるための対策があるか。 。

1、勤務能力の評価

 会社は、入社10年に近づいた従業員を出来るだけ早く引っ張り出して、業務能力及び業績を評価し、業務能力、業績の良い従業員を引き留めるが、能力一般、貢献度の少ない従業員には、10年の満了前に適当な方式で辞退し、無期限契約を回避する。

2、契約期限の選定

 会社は、職種、職場によって労働契約の期限を設定し、初回の労働契約を締結する際、契約期間を2-4年長くする。初回の期限満了前に、従業員の業務能力、業績を評価し、契約を更新するかどうかを慎重に決める。もって、二回目更新期限満了後、無期限契約を締結せざるを得ない状況を避ける。もし、更新するなら、二回目の契約期間を長く設定したほうがよいかもしれない。

 

3、更新証拠の保管

 無期限契約できる状況を有する従業員に対して、できるだけ書面で期限付きまたは無期限契約を結ぶか質し、もし従業員が期限付き契約に同意した場合、その同意した書面を証拠として保管し、後日、従業員が無期限契約を主張した場合に備える。

 

4、契約条件の変更

 無期限契約は変更できない「死契約」ではなく、労働契約の協議変更原則に適用される。労使双方は協議、合意した場合、契約期限だけでなく、業務内容、報酬、勤務条件及び違約責任などを含め、変更できる。

 

5、管理体制の構築

  無期限契約にならないよう、会社は契約管理を完備しなくてはならない。

(1)労働契約期限と職場の期限とを分けて確定し、職場の期限到来を理由に、職場の合法的な調整を確保する。

(2)給与制度を合理に設計し、従業員の給与を基本給と業績給に振り分け、基本給を引き下げ、業績給を引き上げ、社員の勤務意欲を促し、怠業を防ぐ。

(3)会社は、人事査定制度を完備し、従業員の業績査定を強化し、業務に適さない従業員を合法的に辞退できるような環境を作っておく必要がある。

以 上

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。