「外資を積極的に利用し、質の高い経済発展を推進する 若干措置に関する国務院の通知」について
国務院は、2018年6月10日付「外資を積極的に利用し、質の高い経済発展を推進する若干措置に関する通知」(以下、「通知」という。)を公布し、実施することを決めた。その要点を以下の通り取りまとめてみます。
1、背 景
中国当局は、米中貿易摩擦の深刻化を受けて、今後、中国政府が目指す産業・経済構造の高度化に障壁を無くすには、更なる対外開放が不可欠だと判断した。「通知」は、中国の自主的な対外開放の拡大、国際的な慣行の受入、公平な市場競争環境の構築、外商投資への発展空間の提供、政策の予見性と確実性を公約し、外商企業に安心感を与えようとする当局の思惑が見える。
2、内 容
(1)市場参入の障壁を大幅に緩和し、投資自由化のレベルを引上げる。参入前の内国民待遇に加えたネガティブリスト管理制度を全面的に実施し、外資の金融業参入制限を緩和し、調整した海外機関投資家制度を完備し、原油、鉄鋼石などの先物取引を導入し、交通輸送、物流、専門サービス、農業、採鉱業、製造業の対外開放を持続的に推進する。
(2)外商投資管理制度を改革し、投資利便性を高める。外商投資審査権限を地方政府に委譲し、地方政府による集中行政審査の試行を支持し、外商投資企業の資金運用利便性を高め、外国人の中国就労ビザ取得及び出入国制度を改善し、条件に合うハイレベル海外人材には有効期間5~10年、滞在期間最長180日の人材ビザを発行し、必要に応じて、最短2営業日以内に査証を与える。
(3)外商投資企業の経営コストを引下げる。生産企業の法による工場建物の増築、工場構内の改造、敷地内での生産拡大、倉庫の増築を許可する。期限付き特定業務の労働契約、短期固定期限の労働契約の締結によって雇用の需要に合わせる外商企業の合理的な雇用を支持する。外商投資企業の総合計算勤務時間制と不定時勤務制の申請に審査手順、期限を短縮する。二国間の社会保障協定の交渉調印を加速する。
(4)外商投資保護レベルを高める。知的財産権保護を強化し、特許など関係法律の改定を行い、知的財産権の侵害に対する損害賠償額の上限を引き上げ、模倣行為を厳重に取り締まる。
(5)外商投資の質とレベルを引上げる。外国企業の中西部地域、農業、先端製造業への投資を誘致し、外資のM&Aによる投資、外商投資企業の新三板市場(新興市場)への上場を奨励し、条件に合う外国自然人投資家による中国々内上場企業への合法的な投資を許可する。
以 上
最近の主要法令
№ |
法 律 名 称 |
施行日 |
1 |
国務院の「外資を積極的に利用し、質の高い経済発展を推進する若干措置に関する通知」『重要法規解説』をご参照下さい) |
2018/06/10 |
2 |
財政部、国家税務総局、科学技術部の「海外への技術開発委託費用税前増額控除関連政策問題に関する通知」 |
2018/01/01 |
3 |
財政部、国家税務総局の「2018年度部分業界の増値税留保相殺税額の還付関連税収政策に関する通知」 |
2018/06/27 |
4 |
商務部の「「外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法」の改訂に関する決定」 |
2018/06/30 |
5 |
最高裁の「国際商事法廷若干問題に関する規定」 |
2018/07/01 |
6 |
国務院の「「企業所得税税前控除証票管理弁法」の配布に関する公告」 | 2018/07/01 |
7 |
国家税務総局の「新規納税者の増値税領収書申請取得管理関連事項に関する公告」 |
2018/08/01 |