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「越境EC商取引綜合試験区小売輸出貨物税収政策に関する 財政部、国家税務総局、商務部など通知」

財政部、国家税務総局、商務部などは、2018年9月28日付「越境EC商取引綜合試験区小売輸出貨物税収政策に関する通知」(以下、「通知」という)を公布し、2018年10月1日より実施することを決めた。その要点を以下の通り取りまとめてみます。

1、背 景

 2018年上半期の中国越境EC商取引規模は4.5万億人民元に達し、昨年同期比25%増、輸出対輸入比は77.1%対22.9%、EC商取引における輸入増の傾向が見られる。「通知」は、上記のような越境EC商取引の迅速な発展を背景に、輸出促進の為にも新しいビジネスモデル作りの奨励政策として打出されたものとする。

2、奨励政策

 越境EC商取引総合試験区(以下、試験区という)における越境EC小売輸出(以下、EC商取引輸出という)の貨物に関して以下の税収政策が実施される。

・試験区におけるEC商取引輸出企業が有効な入荷証票を取得していない貨物に対して、下記の条件に合致する前提のもとで、増値税、消費税を免除する政策を試行する。

・EC商取引輸出企業は試験区に登記、その登録地の電子オンライン総合サービスプラットフォームに輸出時期、貨物名称、計量単位、数量、単価、金額を登録する。

・輸出貨物は試験区所在地税関のEC商取引輸出申告手続を完了する。

・輸出貨物は財政部と税務総局が国務院の決定により、明確にした輸出税還付(免除)の貨物に属しないものである。

3、政策制定

 税関総署は、定期的にEC商取引輸出商品の申告リスト電子情報を税務総局に送信する。具体的な免税管理弁法は省レベル税務部門と財政、商務部門と制定する。

4、奨励対象

 「通知」のいわゆる試験区とは、国務院が批准した試験区であり、EC商取引輸出企業とは、EC商取引販売プラットフォームを自ら立ち上げ、または第三者の越境EC商取引プラットフォームを利用し、EC商取引輸出を展開する企業と個人自営業である。

5、実施日

 「通知」は2018年10月1日より執行されるが、具体的な期日については輸出商品の申告リストに記載される輸出期日に準ずる。

注:越境EC商取引総合試験区は2015年3月に杭州、2016年1月に天津や上海など、これまで沿海地域や大都市を中心に13都市に設置されているが、2018年7月13日に開かれた国務院常務会議で、新たに北京、フフホト、瀋陽、長春、ハルピン、南京、南昌、武漢、長沙、南寧、海口、貴陽、昆明、西安、蘭州、アモイ、唐山、無錫、威海、珠海、東莞、義烏の22都市に越境EC商取引総合試験区を設置することが発表された。

以 上

 

最近の主要法令

 

法  律  名  称

施行日

1

財政部、国家税務総局、商務部などの「越境EC商取引総合試験区小売輸出貨物税収政策に関する通知」『重要法規解説』をご参照下さい)

2018/10/01

 

2

最高裁の「裁判所のインターネット案件審理若干問題に関する規定」

2018/09/07

3

財政部、国家税務総局の「2018年度第4四半期個人所得税費用控除と税率適用問題に関する通知」

2018/09/07

4

国家市場監督管理局の「経営者集中申告に関する指導意見」

2018/09/29

5

最高裁、最高検の「虚偽訴訟刑事事件取扱法律適用若干問題に関する解釈」

2018/10/01

6

国家税務総局の「企業税務抹消手順取扱の更なる簡便化に関する通知」

2018/10/01

7

全人大常務委員会の「中華人民共和国土壌汚染防止法」

2019/01/01

8

全人大常務委員会の「中華人民共和国電子商務法」

2019/01/01

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。