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疫病期間中の在宅勤務の給与、残業代について

 現在、新型コロナウイルスの撲滅へ取り組んでいる状況下では、企業などの在宅勤務をする人々が少なくない。ビックデータの報告によると、業務再開が延期された企業のうち、在宅勤務は55%を占めており、これらはほとんどオンラインフレキシブルな勤務方式を取っていることを示している。では、在宅でインターネットや電話などで勤務した場合には給料はどうなるか?

 賃下げできるか?また残業代も申請できるか?


1、新型コロナウイルス疫病の状況下で、企業は従業員に在宅勤務をするよう手配し、従業員は会社の命令で在宅勤務をし、労働を提供した。原則としては、企業は従業員にその自宅勤務を手配した以上、正常な給料を支払うべきであり、社員の賃金が固定給であれば、在宅勤務でも、賃下げできない。

 

2、一部の会社の従業員給料の構成には業績給料が含まれており、自宅勤務で効率が低下し、外勤の仕事などができないため、会社は業績査定によって業績給を計算し、適宜に引き下げることは合理合法である。 

 新型コロナウイルス疫病の影響で、企業はさまざまな困難に直面しているため、従業員に経営上、厳しい状況を説明し、従業員が自発的に協議して賃下げに応じた場合には法的に問題がない。ただし、このような協議に関しては、従業員のサインを必要とし、企業が一方的に従業員全員に一律して賃下げを決定することは合法ではない。

 

3、在宅勤務時間が8時間を超えたら、残業代を申請できるか?

 そのポイントとしては、タイムアウトの仕事が会社から要求されるかどうかである。また、どれぐらいの時間を残業するか確定することが必要である。

 会社から手配された仕事が確かに8時間以内に終れず、時間外に完成するよう求められ、双方はそれについて合意したことに限り、残業代の支払ができるようになる。

 当然、最終的に残業を認定するには、会社より手配された仕事の残業時間、作業量、仕事の成果を出す期限などの要素を十分に結びつけなければならない。さもなければ一部の従業員は残業代を得るためにあえて作業スピートを落とし、通常の業務終了時間以降に伸ばしたりして残業代を請求することは、会社にとって不公平である。

 

重要法規解説

 

「企業の生産再開を正確、安定的に推進するために審査の更なる簡素化、サービスの最適化に関する国務院弁公庁の通知」

 

 2020年3月3日、国務院弁公庁は「企業の生産再開を正確、安定的に推進するために審査の更なる簡素化、サービスの最適化に関する通知」(以下、「通知」という)を発行した。その内容を以下の通り取りまとめしてみます。

 

一、目的

 中央政府は「通知」の公布実施を通じて、現在、企業の生産回復中の難点に関して、各地においては実務的な措置を講じ、これらの難点を解消し、政府の要求する「ゼロ遅延」の行政承認を確保しなければならない。企業の必要から着手し、不合理な審査・承認を取り消し、便利なサービスを提供し、正確かつ確実に企業の生産回復を全力的に推進しようという指針を早急に打ち出した。

 

二、五つの政策措置

1、生産再開に向けてサービスの利便性を向上させること。各地区は属地の管理責任をはっきりさせ、法に則り、秩序よく予防・抑制活動を行い、区・レベル別の原則に従い、県を単位として差異化防止・抑制と生産再開の措置を取る。低リスク地域は審査、届出などの方式で操業を遅らせてはならない。中、高リスク分類の地区に対して、省級政府は疫病の予防と抑制の要求を満たした上で、最少、最低限を必要とする原則に基づき、それぞれ省全体で統一した生産再開条件を制定し、必要な審査と証明事項に対してリスト管理を行い、リスト以外はすべて審査許可または証明書を要求してはならず、企業から保証金を徴収することは厳禁する。企業の生産再開申請については「一つの窓で受理、平行処理」で全面的に実施し、原則として二日営業日以内に回答する。条件の備える地方は、生産再開審査許可制を届出または承諾制に変更することができる。

2、政務サービスをオンラインで行うことを推進すること。各地区における各部門は企業の生産再開、市民生活と密接に関係する政務サービスに関する事項の整理を急ぎ、全ての申請事項についてネット処理を実現しなければならない。全国一体化政務サービスプラットフォームの「小零細企業と個人自営業サービスコラム」の役割を十分に発揮し、各政策が分かりやすく、サービス事項はワンストップで処理できるようにし、疫病の予防抑制と生産再開に向けて急用な政務データの共有化を加速させる。

3、生産が回復する企業のためのサービスメカニズムを完備すること。企業の生産経営の投資プロジェクトの審査効率を向上させ、インターネット、映像などを通じてプロジェクト評価の審査を行い、疫病防止抑制期間中に期限満了した許可証を適切に延期できるよう奨励する。「企業向けソフトAPP」、「企業サービスパッケージ」などの取り組みを模索し、全産業チェーンの共同な生産再開を推進するためのサービス保障を提供する。企業の生産再開の訴求に応じるメカニズムを確立、健全化し、企業が直面する切実な困難を迅速に把握し、解決する。

4、不合理な人と物の流動的な管理コントロール措置を直ちに是正すること。疫病防止・抑制の非重点的な地域では、原則として、職場復帰者の外出を制限してはならない。確かに健康証明書の発行が必要な場合、関連地域は健康証明の省を跨る相互承認を推進する。「ドアー対ドアー、ワンストップ」の直送サービスの採用を奨励し、労働者の安全な職場復帰を確保する。

5、生産を再開する企業の防疫業務に対する監督管理サービスを強化すること。各地区における各部門は、企業に「企業事業単位復工疫病防止対策マニュアル」などの規定を厳格に実行するよう監督、指導しなければならず、予防コントロール主体の責任を強化し、企業に防疫物資の調整を協力し、速やかに感染事例を処理して、クラスター伝染のリスクを最小限に抑えるようにしなければならない。

 

主要法令

法  律  名  称

施行日

1

国務院弁公庁の「企業の生産再開を正確、安定的に推進するために審査の更なる簡素化、サービスの最適化に関する通知」(『重要法規解説』をご参照下さい)

2020/03/03

2

国家税務総局の「新型コロナウイルスの肺炎感染状況の予防・抑制期間中輸出税金還付(免除)関連業務に関する通知」

2020/02/20

3

人力資源と社会保障部、財政部、国家税務総局の「段階的に企業社会保険費の減免に関する通知」

2020/02/20

4

国務院の「企業と事業単位の生産再開の疫病防止措置指南の配布に関する通知」

2020/02/21 

5

国家医療保障局、財政部、国家税務総局の「段階的に職員基本医療保険費の徴収減に関する通知」

2020/02/21

6

住宅と城郷建設部、財政部、中国人民銀行の「新型コロナウイルス疫病に対応するための住宅積立金の段階的な支持政策の実施に関する通知」

2020/02/21

7

国家発展改革委員会の「企業用電気コスト引下企業の生産再開の支援に関する通知」

2020/02/21

8

国家発展改革委員会の「非住民用天然ガスコスト引下企業の生産再開の支援に関する通知」

2020/02/21

9

国家税務総局の「段階的に企業社会保険費を減免する政策の貫徹に関する通知

2020/02/25

10

国務院の「新型コロナウイルスの肺炎クラスター疫病予防抑制業務の善処に関する緊急通知」

2020/02/25